【ノーベル賞】LED中村氏に捨てられた日本! 優秀な人材に嫌われる日本の研究環境と、奴隷博士「ピペド」
●優秀な研究者たちが、単純作業をしなければならない環境に
研究者は予算を獲得するために、成果がすぐに出る=企業が欲しがる研究に走るようになり、10年20年かけて真理を追い求める学術研究から離れていきます。予算は3~5カ年のプロジェクト制になり、成果が出ようが出まいが5年で解散することが増えました。
短期間で成果を出すためには、物量で勝負するしかありません。そこで職にあぶれた博士たちが、プロジェクトをたらい回しにされるようになります。試験管を振ってデータを揃えるという単純作業を、非常に安い賃金で延々とさせられるわけです。しかも5年で失職します。試験管をいくら振っても、学術上の功績にはなりません。キャリアがまったく積み上がらないのです。そして研究者として最も能力が発揮できる20代30代を浪費してしまいます。
特に大量の単純作業が必要なバイオ分野では、博士たちを揶揄して「ピペド」と呼ぶそうです。実験に使うピペットという器具と奴隷を組み合わせた悪口です。最悪ですね。
●金が科学者の目を狂わせている
STAP細胞に関する理化学研究所の失態も、こうした研究機関を取り巻く現状が原因といわれています。iPS細胞の登場で、それまで研究されていたもうひとつの万能細胞、ES細胞の評価が著しく下がり、予算も削減される予定でした。予算削減とリストラを避けるために、まだ未完成だったSTAP細胞を表に出してきた。アベノミクスによる予算増を正当化するという目的もあったようです。つまり金=予算の獲得が、科学者の目を狂わせてしまった。
今回、ノーベル賞を受賞した中村博士が米国国籍を取得したのは、青色ダイオードを巡る訴訟で日本の法曹界に愛想を尽かしたからだと噂されています。結局、これもお金です。
研究者に正当な対価が払われず、人類史を塗り替えるような研究さえも、企業に不当に奪われる…。研究者に過剰な成果を求め、青年たちの能力と学問の自由を奪っているのです。STAP細胞はある種の欺瞞ではありましたが、それを犯罪にまで高めたのは、科学研究に対する社会の無理解と金銭的な問題だったんです。
日本には資源がなく、人的資源しかない。息の長い研究が可能な予算体系と若い研究者が十全に能力を発揮できる体制に組み直すべきです。そうしなければ、優秀な人材は欧米に逃げ、日本には疲れ果てたかつての青年と企業に媚を売る技術屋しか残らない。そんな日本は私は嫌ですね」
金はもらえず、自由もない、成果を挙げたところで立ちはだかる年功序列制…、確かに、これでは優秀な科学者たちは日本を離れてしまうだろう。川口氏が話すように、資源のない日本が科学技術立国として存在感を示し続けるためには、たとえすぐには研究の成果が出ずとも、彼らを見守っていけるような体制を築くための策を考えなければならない。
協力:川口友万/サイエンスライター/著書『大人の怪しい実験室』)
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