ルーカン伯爵の謎の失踪と血しぶき ― 未解決の奇妙なミステリー
40年前1974年11月7日、ロンドンの中でも上流階級が住む住宅街ベルグレイヴィアの豪邸で3人の子どもたちが眠るなか、事件は起きた。
当時別居中だったルーカン伯爵夫人であるベロニカ宅に、何者かが侵入。運悪く出くわした乳母のサンドラ•リベット(当時29歳)が鉄パイプで頭部を殴打された。
そこに容赦はなかった。彼女の頭蓋骨は粉々に砕け散り、血しぶきが飛び散った。死亡した彼女の遺体はその後、郵便袋に押し込まれた。
次に、謎の人物は2階に上がり、物音を聞きつけたルーカン夫人とばったり出くわし、鉄パイプで夫人を攻撃。サンドラと同じく頭部を攻撃した後、羽交い締めにし、目玉をえぐり取ろうとした。この謎の人物がトイレに行った隙に、夫人は血まみれのまま、命からがら、近所のパブ「The Plumbers Arms」に転がり込み、助けを求めた。
そして衝撃の事実が明らかになる。なんと夫人の証言によると、夫であるルーカン伯爵が乳母を殺し、さらに夫人を襲ったというのだ。
さらに、ルーカン伯爵はもともと夫人を殺しにやってきたため、誤ってサンドラを殺してしまったのだという。そして動揺するなか、夫人と遭遇。攻撃している隙に夫人が伯爵の股間を蹴りあげ、伯爵は我を取り戻す。そして、夫人は「乳母のサンドラを犯してしまったことは取り返しがつかないが、子どものためにもなんとかしましょう」と、動揺する彼をなだめ、さらに「トイレに行って、血をぬぐうための布巾を持ってきて」ともちかけた。そして、その隙にパブに逃げた…ということだ。
警察が現場に到着した時、ルーカン伯爵は友人宅に逃亡。その後、血がべっとりとついた、彼の車が南海岸で発見されているが、いくつかの手紙や、電話でのやり取りをのぞいては、その足取りを最後に今なお消息は不明だ。
メディアは彼の行方についてさまざまな憶測をめぐらせた。彼と最後に接触した友人が手助けをし、船でドーバー海峡をわたってスイスに潜伏しているという説や、アフリカに逃げたという説もあるが、真偽は不明だ。ルーカン伯爵の目撃者もこれまで数十人~数百人現れたというが、いずれも確信をついておらず、有力な情報とはならなかったようだ。
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