メカニズムは不明!? 量子テレポーテーションの世界最長記録更新!
新年明けましておめでとうございます。
さて、トカナの一発目の記事は夢が膨らむ量子テレポーテーションの話である。
2014年5月、オランダのデルフト工科大学の研究チームが「量子テレポーテーション」を100%の精度で行なったことで話題を集めたが、今度は量子テレポーテーションの世界最長距離が更新されたという――。その距離はなんと25kmだ。
■光ファイバーを使って2つの光子を25km引き離す
量子の「量子もつれ」状態を利用し、2つの量子を“送受信機”に見たてて行なわれる「量子テレポーテーション」は、理論上は距離(空間)に左右されない現象であるといわれている。
しかし、現状の科学技術では量子もつれ状態の2つの量子を引き離すことができる距離が極めて制限されている。100%の精度を達成したデルフト工科大学での実験では、距離はわずか3mほどに過ぎない。
そこで近年、光ファイバーを使って量子もつれ状態の2つの量子(光子)を引き離して遠距離へ配送する試みが各研究機関で行なわれはじめ、量子テレポーテーションの実用性に繋がる大きな可能性が拓かれた。つまり量子テレポーテーションを使った遠距離通信技術の開発である。
そして今回、NASAのJPL(ジェット推進研究所)、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)、スイス・ジュネーブ大学などの物理学者からなる研究チームが、これまでの最長記録となる25kmの隔離に成功したのだ。
実験結果を公表する研究論文が英科学誌「nature」で発表されたのは2014年9月21日であるが、最近になってこの功績を「Daily Mail」や「Live Science」などの海外メディアが改めて一斉に報じている。
ちなみにこれまでの最長記録は2003年に達成した6kmで、今回の実験でなんと4倍以上も距離を延ばしたことになる。
実験ではまず、量子もつれ状態の光子2個の一方(光子A)を長さ25kmの光ファイバーの中に送り込み、もう一方の光子(光子B)を記憶媒体機能をもつ結晶体の中に収納した。
そして第3の光子(光子P)を、光ファイバーの中にある光子Aにぶつけると光子はABP全て消滅したものの、それまで光子Bがいた結晶体の中に光子Pの痕跡(情報)を発見することができたのだ。
この実験の成功をもたらしたものは、JPLとNISTが共同開発した最新鋭の「光子検知器」によるところが大きいということだ。
この技術がさらに発展すれば、将来的には事実上ハッキング不可能な暗号通信システムの開発が可能となり、また超高速で安全に情報を伝えることができるため地球と宇宙船との間の通信手段にも活用できると研究チームは示唆している。
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