三日月うさぎや帽子屋たちとのマッド・ティーパーティーやおじいさんに焼いてもらった黄金色のチーズトースト。「英国で一番美味しい果物」とまでいわれる赤々と光るいちごや道化模様のサラダに黄金色に変じる練り粉がまぶせられた豚や七面鳥。
発売後、幾年月を経ても色あせない魅力を持つ世界の小説たちは数多く有れども、中でも印象深いのは様々な食事のシーンではないだろうか。
マール社より、この度刊行された『ひと皿の小説案内 主人公たちが食べた50の食事』には、名作に登場し、数多くの読者を空腹へと導いてきた料理たちが彩り豊かに掲載されている。早速、発売元の担当編集者にお話を伺った。
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――編集をする上で一番苦心した点を教えてください。
食事シーンの抜粋文を既訳から使わせて頂いたのですが、数ある名訳の中から選定する作業には時間がかかりました。読者の方が「この作品を読んでみたい」と思った時に入手しやすいよう、なるべく現在発行されているものや文庫を中心に選んでいます。
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――この写真集の中で最も食べたい料理は?
缶詰のポーク&ビーンズスパゲッティ(ヘミングウェイ著『二つの心臓の大きな川』)です。即席のアウトドア料理ですが、豆とスパゲッティがフライパンでぐつぐつ温められていく描写がとても魅力的で、食欲をそそります。実際川のほとりでキャンプをしながら食べたらどんなに美味しいだろう! と想像がふくらむ料理です。
――また、缶詰のポーク&ビーンズスパゲッティ、ターキッシュ・ディライトのレシピが入っていましたが、これはなぜでしょうか?
刊行記念として4000部限定で作りました。オリジナル版の構成を尊重し、本の中に収録することはできなかったのですが、やはりレシピは気になるところだと思い、印象に残った料理2品を選んでカードにしました。特別付録として楽しんで頂ければと思います。