森林火災が地球を冷却する? 火災と温暖化の意外過ぎる関係とは?
■樹林の種類によって火災の規模が異なってくる
それでは森林火災によって生まれる雪原の放射強制力はどれくらいなのだろうか。今回の研究結果によると、北米では6Wm-2、ユーラシアでは1.9Wm-2の寒冷化効果があると算出した。この数値の差は、生息する樹木の違いによるものである。
どちらの地域でも、北部では針葉樹林帯が広がっているが、アラスカやカナダでは、激しい森林火災を引き起こすトウヒ属の樹種が多い。そのため壊滅的な森林火災が起きやすく、まっさらな雪原ができやすいため寒冷化効果が高い。それに対して、シベリアからヨーロッパにかけてはカラマツ属の樹種が多く、トウヒ属の森林ほど激しい火災にはならないため、寒冷化効果が弱いのだ。
研究を発表した米・ウッズホール研究所のブレンダン・ロジャース博士は、「各大陸の樹種構成の違いにより、森林火災の影響が異なることは確かで、北米では寒冷化効果が強く、他の冷却要因の倍もあります。逆にユーラシアでの森林火災は寒冷化効果が低いのか、温暖化を促進する可能性があります。現在の気候変動の想定は、この研究のような細かい影響を考慮していません。気候変動を緩和するためにも、詳細な情報を使って、森林火災を管理するべきでしょう」と取材に答えている。
気候変動というトピックはまだまだ不確定な部分も多く、議論の余地があることは確かだ。しかしながら今回のように個々の事象を細かく分析することで、地球の複雑な息遣いを垣間見られた気がしないだろうか。
(文=杉田彬)
参考:「Daily Mail」、「Nature Geoscience」ほか
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