4本の手と4本の足 ― インド人幼女「結合双生児」のドキュメンタリー
ラクシュミ・タトゥマちゃんは2005年12月に、インドの中でも貧しいビハール州の村で生まれた。母親のプーナンさんは生まれたばかりの女児を見せられて意識を失った。その子どもには手が4本、脚が4本あったのだ――。
■ラクシュミちゃんの症状「結合双生児」
インドの貧しい農村では、障害のある子どもが生まれると外に置き去りにしてしまうことが多い。しかし、村人や両親は、この子を4本の手を持つ豊穣と幸運を司るヒンズー教の女神「Lakshmi(ラクシュミ)」の生まれ変わりとして崇拝し、名前もこの女神から、ラクシュミちゃんのベッドの周りは村人からの捧げもので、いつもいっぱいだったという。
ラクシュミちゃんが2歳の時、彼女の写真がメディアを通じインド中に広まった。それを見たバンガロールの「スパーシュ病院」の院長兼小児外科医であるシャロン・パティル医師が彼女の分離手術を無料で行うことを申し出た。ラクシュミちゃんの父親のサンブーさん、母親のプーナンさんはその申し出を受けるまでに悩み続けた。ビハール州の小さな村から離れた経験のない彼らにとって、病院のあるバンガロールは大都会で別世界にあるように感じられた。その上、ラクシュミちゃんを村の守り神と信じる親戚、村長、そして村人は手術に反対していた。
しかしラクシュミちゃんを一目見ようと、ラクシュミちゃんの家の前には常に人だかりがして、両親は人々の好奇の目に耐えかねていた。この時期、サーカスからラクシュミちゃんを売って欲しいとの申し込みさえあったと言う。
パティル医師は迷う両親に「今のままではラクシュミちゃんは、人々の娯楽の対象として一生を終える事になる。私はラクシュミちゃんに人間としての人生を送らせたい」と説得。サンブーさんも、「私たちがラクシュミの面倒を見られなくなった時、ラクシュミは一体どうなるのだろうと考え、ついに決断をしました」と語る。
病院での入念な検査の結果、ラクシュミちゃんは「結合双生児」で寄生している双生児の身体には腎臓が1つだけでそれ以外の臓器がない事、ラクシュミちゃんにも腎臓が1つしかなく、寄生双生児の身体にある腎臓を移植する必要がある事が分かった。また脊椎や骨盤にも問題が有り、ラクシュミちゃんは多分10代まで生きられないだろうという診断がされた。結合双生児は非常に稀で20万人に1人の割合で誕生し、70パーセント以上が女児だという。
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