「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクション
「まあ、亮介は、病気のようなものでね。しようがないと諦めていますけど(苦笑)。なんというか、彼、優し過ぎるというか、そういうところが問題なんですよ。やっぱり、自分がもっていないもの、強いものとか屈しない力、突撃できる精神みたいなものを欲する気持ちが、収集に駆り立てるんだと思います。暴走族や任侠団体、宗教などのコレクションがそれを表していると思いますよ。親としては、最近、精神的に落ち着いているので、とても安心して見ていますが。
彼女とか、結婚の心配ですか? それは、全然ありませんね。そういうのは、本人が独自に習得するべきことですし、なるようになるんじゃないでしょうか(笑)。だから、どうぞ、好きに書いてやってください」
甘やかすような感じではなく、意外と、我が子を冷静に捉えたような口調だった。
■「モノ」が放つ想念に導かれて
渡辺氏はこれからも裏モノコレクターとしての活動を続けていくつもりだという。しかし、氏には最近、心配事がある。「僕が死んだ後のことを考えるんです。僕が死んでしまうとこれらのコレクションは全て、わけがわからないものとして歴史の隅に葬り去られると思います。そうはして欲しくないけど、たぶん無理でしょう……」 そう言って、目を伏せる。氏にとって、裏モノコレクションとは、生きることそのものなのかもしれない。それが自分の死とともに無価値となるのは、二重の死に等しいことなのだろう。
氏には時々、集めてきたものから「残像のようなもの」が見えるという。
「ものが放つ想念のようなものですかね。そういうものは光の当たらないところから来る存在で、それが僕を仲間と思っているかもしれません。どうしても引き寄せられてしまう」と語る。
その言葉に、自らの意思とはまた別の存在に引きずられる、氏の業のようなものを感じた。引き続き、渡辺氏とコレクションの行方を筆者は見続けていきたい。
(取材・文=山辺健史/やまべ・たけし、写真=新納翔)
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊深夜のパチンコ屋にうつむきながら入っていく謎の男達と不思議な警察官【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.09.18 20:00心霊奇妙な風習…“引っ張り合う”魂が集う墓地に佇む老婆【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.08.07 20:00心霊「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクションのページです。わら人形、フリーメイソン、宜保愛子、山辺健史、渡辺亮介、裏モノなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで