「裏モノコレクター」として生きる男、渡辺亮介氏 第6回

「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクション

 「まあ、亮介は、病気のようなものでね。しようがないと諦めていますけど(苦笑)。なんというか、彼、優し過ぎるというか、そういうところが問題なんですよ。やっぱり、自分がもっていないもの、強いものとか屈しない力、突撃できる精神みたいなものを欲する気持ちが、収集に駆り立てるんだと思います。暴走族や任侠団体、宗教などのコレクションがそれを表していると思いますよ。親としては、最近、精神的に落ち着いているので、とても安心して見ていますが。

 彼女とか、結婚の心配ですか? それは、全然ありませんね。そういうのは、本人が独自に習得するべきことですし、なるようになるんじゃないでしょうか(笑)。だから、どうぞ、好きに書いてやってください」

 甘やかすような感じではなく、意外と、我が子を冷静に捉えたような口調だった。


■「モノ」が放つ想念に導かれて

「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクションの画像5

 渡辺氏はこれからも裏モノコレクターとしての活動を続けていくつもりだという。しかし、氏には最近、心配事がある。「僕が死んだ後のことを考えるんです。僕が死んでしまうとこれらのコレクションは全て、わけがわからないものとして歴史の隅に葬り去られると思います。そうはして欲しくないけど、たぶん無理でしょう……」 そう言って、目を伏せる。氏にとって、裏モノコレクションとは、生きることそのものなのかもしれない。それが自分の死とともに無価値となるのは、二重の死に等しいことなのだろう。

「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクションの画像6

 氏には時々、集めてきたものから「残像のようなもの」が見えるという。

「ものが放つ想念のようなものですかね。そういうものは光の当たらないところから来る存在で、それが僕を仲間と思っているかもしれません。どうしても引き寄せられてしまう」と語る。

 その言葉に、自らの意思とはまた別の存在に引きずられる、氏の業のようなものを感じた。引き続き、渡辺氏とコレクションの行方を筆者は見続けていきたい。

「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクションの画像7

(取材・文=山辺健史/やまべ・たけし、写真=新納翔)

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

現実と夢が交差するレストラン…叔父が最期に託したメッセージと不思議な夢

現実と夢が交差するレストラン…叔父が最期に託したメッセージと不思議な夢

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.11.14 23:00心霊
彼女は“それ”を叱ってしまった… 黒髪が招く悲劇『呪われた卒業式の予行演習』

彼女は“それ”を叱ってしまった… 黒髪が招く悲劇『呪われた卒業式の予行演習』

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.30 23:00心霊
深夜の国道に立つ異様な『白い花嫁』タクシー運転手が語る“最恐”怪談

深夜の国道に立つ異様な『白い花嫁』タクシー運転手が語る“最恐”怪談

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.16 20:00心霊
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

「モノ」が放つ想念に導かれて ― フリーメーソン、宜保愛子、わら人形コレクションのページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング更新