写真/河西遼
■この映画には、得体の知れないエネルギーが渦巻いている
――確かにもう十分ドギツい感じはありますね(笑)。そんな難しい役柄をこなす中で、印象に残っているシーンは何かございますか?
遠 そうだね…。ワンシーンごとに監督とディスカッションしながら脚本を変更したり、ドギツめにしていったり。関東の人間の俺が、関西弁も使わないといけなかったし、何度も言っているように動きに制約がある中で、どう表現できるのかっていうのを考えるのが大変だった。でもそれが楽しい部分でもあったから、印象に残っているシーンをひとつだけ選ぶっていうのは難しいかな。
『木屋町DARUMA』公式予告編より
――まさに入魂の作品ということですね。ちなみに、遠藤さんはヤクザとか、そういう裏社会の人間を演じることが多いかと思うのですが、そうした人々にはどういった思いを持っていらっしゃるのでしょう。
遠 全く知らないんだよね。付き合いもないし、情報もない。
――そうなんですか。失礼ですが、意外というか…。
遠 本当のヤクザの人をどうこう演じるのではなく、あくまで人間がメインで、たまたま置かれた環境がヤクザっていう感覚で演じている。その人間が、どんな職業であろうが喜怒哀楽はあるし、もっと言えばそれだけじゃない、色々な感情がある。置かれた状況の中で、どうやって変化していくのか、どうやって喜怒哀楽から先の表現をできるのか。そういう内面に主眼を置きたいよね。だから、ヤクザだからとかはあんまり関係ないかな。
――なるほど。そんな遠藤さんにとって実験とも言える今回の『木屋町~』ですが、周りの方がご覧になった感想とかはどうでしたか?
遠 いや、あまり聞いてないね。俺はネットも見ないし。ただ、自分で見ればわかるから。…ただ、家族そろって観に行く映画ではないよね(笑)。
――それは確実にそうでしょうね(笑)。
遠 でも、この映画はとにかく「得体の知れないエネルギーを持っている作品」だとは思う。たとえば、俺の役柄で言えば、どんな苦しい状況にななろうが生きていくっていうエネルギーがあるから、それを感じてもらえればと思うね。あとは、製作者全員がエネルギーを傾けて作品をつくると、こういう得体の知れない独特な世界観をもった作品ができるんだ、っていうのが伝えわれば嬉しい。