写真/河西遼
――確かにこれだけの世界観を作り出すのには、かなりの熱が必要だ、ということは私もわかります。ちなみに、共演された方の中で、印象に残った方というのはどなたかいらっしゃいますか?
『木屋町DARUMA』公式予告編より
遠 三浦(誠己)君だね。彼は今回が初共演だったんだけど、彼はいいエネルギーを持っていると思う。内面のエネルギーでぶつかってくるような演技で、お互いそのシーンが終わってから「ああ、こういう風になってたんだ」っていうような状況になってた。素晴らしかったね。
――確かに、三浦さん演じる坂本が、泥酔して勝浦に絡むシーンはかなりグッとくるものがありましたね。では、作品の内容の方に軽く触れさせていただきたいと思うのですが、遠藤さんが演じられた勝浦という人物についてどうお考えですか? 例えば、何か共感できる部分ですとか。
遠 ヤクザって職業の細かいところまではわからないけど、ある程度見栄を張っていく世界だと思うのね。だから、勝浦みたいになっちゃったら大半は引退すると思うんだ。でも、それでも生きていくっていうエネルギーはすごいと思う。
――作品内では、そんな勝浦に追い詰められて、どんどん堕ちていく人々にもスポットが当たってますよね。寺島進さんと武田梨奈さんの演じた一家だとか。ああいう借金で破滅していく人々は、現実世界にもそれなりにいると思うんですが、そういう方についてはどういう風にお思いでしょう。
遠 俺の知り合いにはいないけどな(笑)。でも、家族崩壊してワケわかんない事件になってたりとか、そういうのもたまに聞くじゃん。まったく共感はできないけど、確かにいるんだろうなっていうのは強く思う。
――なるほど。先ほどからエネルギーという単語を多くお使いになられてますけど、遠藤さんのいうエネルギーっていうのはどういうものなんでしょうか。
遠 さっき喜怒哀楽って言ったけど、心の中っていうのは、そんな4色だけじゃなくて、何千色、何万色っていう色があると思うんだよ。ピアノにも鍵盤の数には限りがあるけど、弾き方とか、その順番とかを変える事によって本当に色々な曲が出るじゃない。人が幸せになるのも不幸になるのも、そういう数えきれない色の心の動きにかかってくる部分がある。だからこそ、それ自体が生きる力に直結するもの、つまりエネルギーになるんだよ。
――生命力。
遠 だから役者っていうのは、そういう見えない心の中というものを表現するのが一番だと思うんだよね。この役でも、どんな形であろうと生きていくっていう心の生みだす生命力っていうものを伝えたかったし。ヤクザじゃないにしても、何か自分にとってマイナスの部分を抱えている人っていっぱいいると思うんだよ。中には、それによってガクッとやる気無くなっちゃったり、死んじゃったり、人に当たっちゃったりするんだろうけど、勝浦はあんな姿になっても前に進む、まだ生きようとする。最初に言ったけど、「それでも生きるんだ」っていうこの心の凄さっていうのが、ひとつのテーマだったよね。
――確かに、勝浦のような姿になったら絶望して死にたくなる人がほとんどだと思います。