変わり者キャラ、動物虐待、人体実験…名大理学部女子学生が“本当に人を殺す”までの真相とは?

■名古屋大学女子学生殺人事件

 著作では冒頭で、2014年7月に発生した佐世保女子高生殺害事件の16歳の犯人が、刑事処分を受けずに、第三種少年院(旧称医療少年院)送致となったことに疑義を示し、厳罰化を唱える。第三種少年院は最長26歳までしか収容できず、「本当に更生したうえでの社会復帰が確約されていない」制度上の問題点を指摘する。(p.7)

 異常犯罪をした者、または犯そうとしている者に社会は何をなしうるか。そこには、とても困難な問いかけが横たわる。

 本書は、2015年1月に発覚した殺人事件の真相に迫るものである。警察関係者や、同級生をはじめとする地元の人間を中心に、事件の背景をていねいに追っている。事件は前年の14年12月に起こった。名古屋大学に通う、19歳の女子大生が宗教の勧誘で知り合った77歳の主婦を自宅アパートに連れ込み、手斧で殴り、マフラーで首を締めて殺害。女子大生だった彼女は、主婦の遺体を浴槽に放置したまま、実家のある宮城県仙台市に帰省し、1カ月後に警察の聴取を受け、犯行が明るみとなった。

 さらに捜査が進むにしたがって彼女の余罪が明らかとなる。高校時代、劇物であるタリウムをクラスメイトの男子生徒に投与し、衰弱する様をつぶさに観察していた。さらに、「焼死体を見たい」という理由から、2014年の夏と冬に、実家近くの民家に放火している。さらに冬の事件では火炎瓶の製造も手がけていた。

 彼女は幼いころから、「人を殺してみたい」という欲望に取り憑かれていた。人を殺し、逮捕される悪夢を見ていたことが序章では触れられている。

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