P114-115 カーン川油田/アメリカ
【大地を掘り尽くす膨大な数のオイルポンプ】
米カリフォルニア州ロサンゼルスの北部に広がるサンホアキン・バレーは東にシエラ・ネバダ山脈、西にカリフォルニア海岸山脈に挟まれた広大な盆地。その南部に位置しているカーン郡は、古くから広大な米国のエネルギー産地として知られる。この衛星画像は、カーン郡ベーカーズフィールドに広がる広大な油田。まるで大量発生した虫のように地表に点在する黒く小さな物体は、油田を掘削するオイルポンプ(油井やぐら)である。もとは1899年、この地に油田が発見されると、近隣からも次々に発見され、20世紀半ばには米国でも最大規模の油田地帯となった。しかしもともと盆地であるため空気が停留しやすく、大気汚染の深刻化が懸念されている。
――写真はどのように選ばれたのでしょうか? プロセスとともに教えて下さい。
佐藤氏:自分が実際に行った場所も何箇所か入っていますが、大部分は地道に衛星を利用して「地球」を見回して探しました。デジタルグローブ社が用意してくれた業務用の衛星画像検索アプリケーションを利用して、僕が場所を探して選定したり、同時に担当編集の方にも、「今日は東南アジアの海沿いで、面白い場所があれば教えて下さい」というように指示をしたりしつつ探しました。 あとは、例えば8月には中国の天津で爆発事件がありましたが、そういうときはすぐにその場所を衛星でチェックして、それを実際に本の中に収録しました。 また写真のデータは途方もない膨大さで、例えば本の見開き2ページで使う1枚の写真データが、最大で100GB近くある場合もありました。ダウンロードした段階では50000ピクセルとかあるファイルだったので、それをリサイズして実用的なサイズに落とし込み、さらに衛星画像は本来色のデータが非常に弱いため、それを知覚的にリアルな色に近づけたりする補正作業を行っています。本の中には120箇所が掲載されていますが、実際にはこの3倍近い場所を見ていると思いますよ。