炎の画家!田嶋奈保子 ― DV、介護、育児放棄…「家族の崩壊」を描いた作品の恐るべき強度
まずはこの写真をご覧いただきたい。
※画像:田嶋奈保子 Face & Hair painting ライブ風景ひとりの女性が床に両手両足をつき、頭を振るようにして絵を描いている。当然のことながら、衣服はおろか、髪の毛も顔も絵具まみれになる。しかもそれを行っているのが、若い女性とくれば、これはなかなかショッキングな光景だ。
描き手は田嶋奈保子という美術家である。
彼女はこの絵画手法を「Face & Hair painting」と名付け、さまざまな場所で公開している。ここ数年はテレビや新聞などマスメディアでも度々取り上げられているので、ご存じの方もいるかもしれない。私自身はなかなか直接観る機会が得られなかったのだが、10月上旬に「江古田ユニバース」というアートイベントで彼女がライブパフォーマンスを行うと聞き、さっそく出かけたのであった。
当初は、相当激しい動きを想像していたのだが、実際の動作そのものは意外なほどゆるやかだった。紙の上にしばらく佇み、全体をよく見た後、髪の毛を墨汁に浸す。そうして両手両足の位置を決め、ゆっくりとした動作でストロークを重ねていくという具合である。
そのさまは、宗教的な儀式のようであり、日本の伝統芸能である「能」を思わせるようなところもある。その後、次第に動きは大きくなるのだが、いずれにせよ鑑賞者は、外面的な動きが過度に強調されない分、むしろ描き手の内面的な動きに注意が行き、パフォーマンスに引き込まれていくのだ。
※画像:田嶋奈保子 Face & Hair painting 会場風景次の写真は、会場全体の風景である。壁の両側には、過去のライブペインティングで制作された絵が立てられている。いずれの作品も何かが激しく燃焼しているさまだ。これは、田嶋自身の発言によれば、燃えているのは「家」だという。家々が画中に白い線で文様的に表示されている。とは言え、これらは実際の家屋なのではない。抽象化された「イエ」であり、その炎は、家庭を崩壊の危機に陥れる諸要因(ex.育児放棄、介護問題、DV)である。そう捉えると、あまたの「イエ」が燃え盛り、崩れ去っていくさまが視覚化された彼女の絵画空間は、実際の火事を描いたよりもずっと恐ろしい。
しかし、不思議と言えば不思議である。なぜ彼女は、「家族の崩壊」といった社会的なテーマを扱うにあたって、このようなパフォーマティブなやり方を選択したのであろう。そもそも、女性にとって大切なはずの髪や顔を酷使してまで彼女が絵を描き続ける理由とは何だろう。
パフォーマンスを伴う抽象絵画と言えば、すぐに思い浮かぶのが「抽象表現主義」の代表的作家ジャクソン・ポロックであろう。ポロックは巨大なキャンバスに絵具を垂らしながら絵画を描き、20世紀半ばの美術界にセンセーションを巻き起こした。
人間の内面性や感情を直接的に表現したポロックの絵画は、緻密に計算されたそれまでの抽象画に対し、「熱い抽象」と呼ばれたが、そこには称賛ばかりでなく揶揄も含まれていた。だが、ポロックがこうした方法を選択したのは、何も自身の名を売ることが目的ではなく、絵画から装飾性や作為を可能な限り取り除こうとした結果であったのだ。
田嶋の「Face & Hair painting」も同様で、その演劇的要素から、とかく人目を引くための話題作りと受け取られがちだ。しかし、これは正統な表現主義の系譜に連なるものである。絵画の可能性に賭けているという点では伝統主義的であると言っても過言ではない。逆から言えば、その方法によってでしか表せないものが彼女にはあるのだ。
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