炎の画家!田嶋奈保子 ― DV、介護、育児放棄…「家族の崩壊」を描いた作品の恐るべき強度
これは田嶋自身が度々言及していることだが、「燃えゆる家」という主題は、彼女の生い立ちと深く関係している。それは、事物を客観的に観察して得られたものというよりはむしろ、彼女の私的体験から生じたテーマなのである。しかし、こうしたセンシティブな自己体験を作品化し続けることはそう容易なことではない。
よくありがちなのが、自己弁護的な表出(こんなワタシを分かって!)に堕してしまうパターンである。むろんそれでは、いくらパブリックな場で作品を発表しようとも、表現の射程は「私」周辺の圏内から抜け出ない。
私的な体験を社会的な出来事に変えていくためには、内から外へ働きかける力、すなわち表現の強度が問われる。そのためにこそ田嶋は、自己の身体を危険に晒し、内なる炎を燃やし続けるのだ。「燃える抽象」とでも呼ぶべき、田嶋の絵画に今後も注目したい。
(文=斎藤誠)
■田嶋奈保子 ウェブ・サイト
<http://nahonaho0403.wix.com/tajimanahoko>
■江古田ユニバース2015
参加作家:三田村龍伸、寺田忍、田嶋奈保子 他27人(組)
会場:ギャラリー古藤、ターナーギャラリー、江古田駅自転車駐車場 他18か所
会期:2015年10月4日~10月12日(終了)
<http://ecouni.businesscatalyst.com/2015top.html>
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2024.10.02 20:00心霊炎の画家!田嶋奈保子 ― DV、介護、育児放棄…「家族の崩壊」を描いた作品の恐るべき強度のページです。アーティスト、絵画、斎藤誠、田嶋奈保子などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで