DV、離婚、遺体解体…4人を殺害“透明”にした事件の真相! 死刑囚・風間博子は無実か?
■風間博子は被害者か? 関根からのDVに怯えた日々
ところで、風間の主張が事実であるなら、なぜ共謀もしていない風間を犯行現場に呼び寄せたのか、という疑問が浮かび上がってくる。
風間は結婚以来、関根からのドメスティックバイオレンスに悩まされていた。風間自身も暴力を振るわれていたが、風間の連れ子である長男への虐待はひどかった。木刀で殴りつけるのは序の口で、裸にして玄関のコンクリートの上に正座させ、膝の上にブロック三、四個載せ、ホースで水をかけるのもしょっちゅうであった。2階から突き落とされることもあり、「このままでは殺されてしまう」と風間は心配したのだ。
事件が起きる前年の92年12月、アフリカケンネルに税務調査が行われる。「離婚をして不動産名義を風間に移し、関根は県外へ出て、別居したほうがいい」とのアドバイスを風間は弁護士から受ける。翌年になって暴行を受けることを覚悟しつつ、税金対策のための離婚だと説得し、1月25日、法的な離婚が成立。関根は出ていき、ポッポハウスで山﨑と一緒に住むなどして、生活も別になった。
だが、そのうちに関根は、風間が本当に自分から離れていこうとしていると考えるようになった。そこで、共犯という軛でつなぎ止めようとしたのではないだろうか。実際に、犯行に巻き込まれたショックから、風間は再び、関根の支配下に置かれるようになった。
山﨑は関根から、それまで殺したのは30人以上だと聞かされたという。「ボディを透明にする」手法にしても、警察の監視をかいくぐって殺人を行う大胆さを見ても、関根はたぐいまれな殺人のエキスパートだ。関根は風間の性格を熟知している。共謀していない風間が現場に来ても、犯行をやり遂げるのに障害にはならないと思ったのだろう。
■あまりにもお粗末な再審棄却理由
今回の高裁による再審棄却の理由には、次のように書かれている。
「本件日誌には、7月21日16時20分頃に万吉犬舎前の駐車場で確認されていたカリーナバンが、同日17時21分頃に市内方向から万吉犬舎に戻ってきたとの記載があるのに、その間に当然あったはずの同車が万吉犬舎前の駐車場を出た事実について記載がないなどの遺漏が認められる」
だが、一時的な車の出入りの見落としが、長時間に渡って停車していたはずの車を1度も視認しなかったという理由になるだろうか。そのような当然の疑問に対して、高裁の決定文は、あまりにも苦しい言い逃れをしている。
「(監視をしていた)渡辺警察官は、同日午後7時34分から同日午後10時5分までの間について、何をしていたか記憶がないと証言している」
通常なら、一般人より警察官の証言に信用性を置く裁判所が、なんと警察官の職務怠慢による見落としだとしているのだ。だが、山﨑の供述の通りなら、ここで言われている時間帯外にも、ベンツやクレフは停まっていたはずなのだ。
あまりにも、お粗末で不当な理由での棄却である。特別抗告を受けて、最高裁は再審を行うべきであろう。
(文=深笛義也)
■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ。
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