早稲田大学“コピペ盗用”准教授は文部科学省出身者! 一部学生が「最低評価」を付けた授業内容とは?
【早稲田大学論文盗用疑惑問題を追う 最終回/全3回】
学生3人の修士論文を盗用した疑いがもたれている早稲田大学商学学術院商学研究科ビジネス専攻(WBS)の准教授はそもそもどんな人物なのか?
その経歴そのものだけを見れば、日本社会全体で明らかにエリートに属すると言ってもいい。准教授は早稲田大学理工学部を卒業後、東京大学大学院工学研究科に進学、修士課程を終了して90年に当時の科学技術庁(現・文部科学省)に入省する。
96年には同庁科学技術政策研究所情報分析課の課長補佐となり、その後同庁研究開発局海洋地球課の課長補佐、科技庁と文部省の統合による省庁再編による文部科学省発足後もその地位に留任した。01年には経済産業省に出向し、同省経済産業政策局産業施設課の課長補佐に就任。そこから03年4月にWBSの前身である早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際経営学専攻の准教授に転身し、同専攻が商学研究科に移行して商学研究科ビジネス専攻となった際にはそのままビジネス専攻の准教授に横滑りし、現在に至っている。
早稲田大学への転身後に執筆した論文は12本。うち単著は8本、共著は4本。数年かけて1本の論文を書くと言われる経営学の世界では、査読付きの単著論文が2本もあれば、大学の教授職になることは必ずしも不可能ではないといわれるなかで、数だけならば一定の業績を有するようにも見える。しかし、その中身を詳細に検討するとやや趣は異なってくる。
まず、単著論文のうち研究者として優良な業績と評価される査読付き論文は単著2本、共著1本。残りの単著6本、共著3本の計9本は、査読のない学会誌1本をのぞくと、全て早稲田大学の学内紀要である。
もっともこの中には今回問題になった日本経営学会誌の査読付き論文2本、早稲田国際経営の2本が含まれているので、そこを差し引けば、単著は査読のない早稲田大学の紀要のみで5本、共著が査読付き1本、査読なし2本となる。
准教授の研究者としての評判をある関係者が明かす。
「早稲田国際経営では編集委員はいますが、査読はありません。にもかかわらず、ある時、この准教授が投稿した論文を手にした事務職員が編集委員の先生に困惑気味に『このまま載せていいのでしょうか?』と相談したと聞いています」
確かに准教授の早稲田国際経営の単著論文などを読むと、同じような形容動詞を一文のなかで連発したり、文章内の繋がりが悪かったりと、学術論文としては疑問符のつくような部分は散見される。
別の学内関係者は「あれは○○(准教授の姓)クオリティーですからね」と苦笑する。もっとも准教授自身は前述のように官僚として実務家出身なので、研究者としての論文はあまり得意ではないのかもしれない。
また、ある時、この准教授が専門としている分野も含めた書籍を出版しようという話が周囲で持ち上がったことがあったが、准教授はそれに難色を示した。その理由を本人は「自分が授業で使用している資料はほとんどが借用しているものが中心で、オリジナルのモノはほとんどないから」と、悪びれもなく明らかにしたという。
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