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早稲田大学“コピペ盗用”准教授は文部科学省出身者！一部学生が「最低評価」を付けた授業内容とは？

2015.11.16 16:00

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■授業評価アンケートにも“捏造疑惑”が浮上

　そんな准教授には教育面でも、ある疑惑を指摘する声がある。それは早稲田大学が学生を対象に行っている「授業評価アンケート」にまつわるものだ。

　アンケートは学生が各教官の授業内容を無記名のマークシートに記入するもの。アンケート配布は各教官が行うものの、信頼性向上を目的に、回収と商学学術院側への提出は学生の代表が行う。ところがこの准教授に関しては、回収も自分自身で行っていたというのだ。前述のX氏とD氏もこの准教授の授業ではアンケートを准教授自身が回収していたことを記憶しているという。

　当初学生側は教官によって対応が異なるのだろうという程度で捉えていたが、最近になってやや不思議なことに気付いたという。

　ある学内関係者は次のように語った。

「一部の学生が、准教授のある授業に対してアンケートで組織的に最低評価を入れたらしいのですが、後に明らかにされた結果では、准教授の授業評価が全体平均よりも高くなっていたので不思議に思ったらしいです」

　もっとも無記名のアンケートで、なおかつこの組織票以外の学生がどのような評価をしたかは全く不明なため、それだけでは確定的なことは何も言えない。

　筆者は准教授を直撃した際にこのことも聞いてみた。

筆者：「自身の授業評価アンケートを自分自身で回収していたという証言があります」

准教授：「確かに自分で回収していたことはあります。もっともそれは学生の代表が欠席した時などに臨機応変に行っていたもので、基本は学生に任せていましたよ」

筆者：「実は嫌なお話かもしれませんが、先生の授業評価に組織的に最低評価をつけていた学生さんたちがいらっしゃって、公表された授業評価結果に疑問を呈しているようです」」

准教授：「自分が回収したアンケートに何か手を加えたりはしていませんよ」

筆者：「していない？」

准教授：「はい」

　なお、この点については早稲田大学広報室にも尋ねてみた。

「授業評価アンケートの回収に関しては、大学の規程として定めてはおらず、箇所などによっても若干運用が異なります。ただ、該当の准教授の商学研究科では、成績などいくつかの関連事項を指示している文書の中で、アンケートの回収・提出は学生の方にお願いしてくださいという旨が記載してあるそうです」

　また、准教授の授業では自身が回収している点については、大学として把握していないとのこと。

「そのような事実があるならば、実際の事実の確認や該当准教授への注意などの可能性はあり得るかもしれませんが、現時点では何とも言えないというところです」

■准教授と実際に会った筆者の印象

　前述のように筆者も准教授に直接会っている。

　当初、准教授宅を訪れ、インターホンを鳴らすと反応があったので、「○○（准教授の本名）先生ですか？」と声をかけると、突然「ガチャ」とインターホンが切れる音がした。

　筆者がドアの前から立ち去ろうとすると、切れたはずのインターホンから「どんな御用でしょう」との応答が返ってきた。慌てて来意を告げると、「少しお待ちください」と言われ、数分後に本人が出てきて、戸外で前述のような取材に及んだのである。突然の来訪取材にやや驚きはあったようで、最初はこちらが渡した名刺を凝視し、少なくとも尋ねることには淡々と答えていた。彼を知る人物からは「非常に怒りっぽい」と聞いていたので、この対応はやや拍子抜けでもあった。

　そして姿を現したやや小柄な准教授は、まさにどこにでもいる普通の中年男性である。やや乱暴な言い方だが、混雑したコンビニの店内になら、必ず１人はいるだろうと思われるタイプで、町ですれ違っても印象に残ることはないだろう。そうした立ち居振る舞いは、4本もの論文を盗用したということをこちらがやや意外に思うものでもあったが、結果としてその責任を免れないことは論を待たないのは当然である。

　だが、今回の一件でそれ以上に理解に苦しんだのは大学内の対応である。その過程は第２回でも既述したが、例えるならば方位磁針の針が指す方向が、目に見えない様々な磁力で徐々にずれ始め、時としては乱暴に回転し、結果としてみれば南北逆に指していたようなものだ。

　そして停職処分ということは、いずれ准教授は大学に復帰し、学生相手に教鞭をとる。わざわざ高い学費を支払い、そんな准教授の授業を受けねばならない学生の気持ちを早稲田大学はどう考えるのか？
（取材・文＝村上和巳）