「弁護士男性器切断事件」 背景に“法曹界の格差”と“エリートへの負い目”!? 慶應法科院生の憂鬱とは?

「弁護士男性器切断事件」 背景に法曹界の格差とエリートへの負い目!? 慶應法科院生の憂鬱とは?の画像1画像は、「ANNnewsCH」YouTubeより

 慶應義塾大学の法科大学院に在籍する24歳の男が、42歳の弁護士の男性器を切断した事件は世間に衝撃を与えた。逮捕されたのは、小番一騎(こつがい・いっき)容疑者である。元プロボクサーの肩書を持ち、2年前から、慶應の大学院に進み法曹界を目指していた。今年6月には司法試験の予備試験にも合格している。

 事件は13日午前に、弁護士の勤務事務所で起こった。小番容疑者の妻が被害者弁護士の事務所で事務員をしており、男女間のドラブルがあったと見られる。話し合いの席上、小番容疑者が弁護士を殴りつけ、意識がもうろうとした所を、持参した全長20センチ、刃渡り6センチの枝切ハサミで男性器切断。さらに、切断したモノはトイレに流してしまった。

 弁護士の男性は、企業法務を専門とし、アメリカ留学経験もあり、国際弁護士の資格も持つ。弁護士の中でもかなりのやり手であろう。エリート弁護士と、法曹を目指す法科大学院生の対比はどこか象徴的だ。

 この事件について法科大学院生はどう思うのか。今春、都内の某法科大学院を修了し、司法浪人となった玉置氏(仮名・20代後半)に話を訊いた。

「法科大学院を修了し、試験を受ける現在の新司法試験制度は2006年からスタートしました。それ以前の試験は旧司法試験と呼ばれます。現在の法曹界には旧司法試験の合格者はエリートであり、新司法試験は非エリートとみなす風潮があります。被害者の弁護士は旧試験の合格者です。加害者の大学院生にはやはり負い目のようなものはあったのではないでしょうか。慶應の大学院で学んでいる、といえば聞こえはいいですが、最終的に司法試験に受からなければどうしようもありません」(玉置氏)

 新司法試験制度では当初は修了者の7~8割を合格させる目標が立てられていた。しかし、現在は、ごく一部の優秀校を除いて、合格率は3割以下となっている。さらに、法科大学院を経由しない予備試験出身の合格者も増えている。小番容疑者も、法科大学院に籍を置きつつ今年度の予備試験に合格した。

「予備試験は、法科大学院の高額な学費をまかなえない経済的な事情がある受験者に向けた措置でした。しかし、現在は極めて優秀な上位層が法科大学院を経由せずに合格するルートとなっています。法科大学院生が予備試験を受けることもありますね。小番容疑者は、予備試験に通ったということは、かなり優秀であったということでしょう。それでも新司法試験に合格しても、非エリートというレッテルはずっとついて回ります」(前出・同)

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