「弁護士ペニス切断事件」 背景に“法曹界の格差”と“エリートへの負い目”!? 慶應法科院生の憂鬱とは?

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 さらに合格後の就職先に難儀する者もいる。法曹人口が増えても、弁護士事務所の数が増えていないため、どうしても職にあぶれてしまうのだ。中には、登録した弁護士会におもむき、報酬の低い国選弁護人の仕事をもらう人間もいる。さながら法曹界の“日雇い労働”である。さらに、法テラス(法務省設置による市民への法律支援機関)に所属し、“ゼロワン地域”と呼ばれる地域(弁護士がいない僻地)での仕事をこなす人間もいる。法テラスの仕事は、自分自身の実績とはならない。高収入で、華やかな弁護士生活とは程遠い。

 小番容疑者は、20代の妻とともに中野の一軒家の一部を間借りして住んでいた。難関資格を目指す夫をかいがいしく支える妻、という姿も浮かび上がる。

「試験に受かるまで女性に支えてもらうといった人はあまりいませんね。法科大学院に進むため、恋人と別れたという人もいました。司法試験へのチャレンジは人生の大きな“賭け”ですから、他人を巻き込むわけにはいかないという覚悟ですね。その分、お互いの境遇に理解があるためか、法科大学院生同士でくっつくパターンも多いです」(前出・同)

 玉置氏の周辺では「猛勉強しているのだから自分は受かる」と思っている人間は少数派だという。むしろ「もしダメだった場合にどうするか」というリスクヘッジが重んじられている。玉置氏自身も「30歳までにダメだったら公務員試験を受けます」と述べる。

 法科大学院の高額の学費と、司法試験の低い合格率、いざ合格しても法曹では非エリート扱い――とても割に合っているとは言えない。その中でも小番容疑者は、難関と言われる予備試験を突破し、夢であった法曹の道へ近づいている最中であった。将来を投げ打ってでも彼を凶行へ走らせた理由は何なのか――その背景には法科大学院生の憂鬱も見いだせそうだ。
(文=平田宏利)

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