またもやUFO落下? 雷鳴の後、ベトナムの上空から次々と金属ボールが落ちてきた!

■人工衛星の液体燃料タンクなのか…

 謎は深まるばかりだが、ベトナム人民軍によって当日の同時刻、付近一帯の上空に航空機などの飛行はなかったことが確認されている。ということは垂直に落下してきたものではないのかもしれない。

 政府の宇宙科学技術プログラムを担当するグエン・コア・ソン教授はこの球状の物体は、人工衛星の液体燃料タンクではないかと情報サイト「Vietnam.net」の取材で話している。
 
 現在、国連では宇宙空間で老朽化した人工衛星を破壊することを禁じる決議が採択されているが、かつての冷戦時代にはアメリカとソ連によって、幾度となく人工衛星の破壊実験が繰り返された時代があった。直近では2007年に中国も弾道ミサイルを使って老朽化した自国籍の人工衛星を破壊している。

 バラバラに粉砕された破片は宇宙ゴミ(スペースデブリ)となって地球の衛星軌道上を漂っているが、何かの折に軌道の内側に入った場合は地球の引力に引き寄せられて大気圏に突入し地表を目指して落下してくることもある。もちろん大半の宇宙ゴミは大気圏で燃え尽きるのだが、ソン教授は今回のこの金属製の物体は燃え尽きずに地表に落ちてきた宇宙ゴミの1つである可能性もあるというのである。確かに表面に刻まれたロシア語はソ連時代の人工衛星の部品であるとすれば合点がいくことにはなる。

 またそれに類似したものとして、打ち上げに失敗して高度100km以内でロケットもろとも爆破した人工衛星の部品である可能性もあるということだ。この説では付近住民が聞いたという“雷”の説明がつくことにもなる。しかしこのケースの場合、事前に国際社会に報告しなければならない禁を破り、どこかの国が秘密裏に人工衛星を打ち上げたことになる。

 人工衛星の液体燃料タンクであることが濃厚になった今回の落下物だが、はたして宇宙ゴミであるのか、秘密裏に打ち上げられて失敗した機体の破片なのか、今後の調査の進展が期待されるのだが、もし事実が国際問題に発展するものになるとすれば、各種の圧力で真相は闇に葬られてしまうのかもしれない。それにしても懸念が膨らむのは地球の空と衛星軌道上の“散らかりぶり”ではないだろうか。
(文=仲田しんじ)

参考:「Daily Mail」、「Tuoi Tre News」、「Vietnam.net」ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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