悪夢のような「セルロイド人形製造過程」 ― ドロドロホラーの域を超えた当時の現場とは?
大正期、日本の子どもたちの遊びといえば、おはじき、めんこ、ベーゴマ、ビー玉、ブリキ人形といったものが主流だった。そこへ、アメリカから19世紀に誕生したセルロイドの技術が伝わり、軽くて加工成型も簡単、ブリキに比べ色彩豊かということもあって、昭和初期には一斉を風靡するほどの人気をほこった。
セルロイド人形の代表といえば、なんといってもあのキューピー人形ではないだろうか? 世代によっては懐しい思い出の詰まったセルロイド人形であるが、その生産過程を見たら悪夢にうなされそうになるかもしれない。
■もともとはビリヤードボールの代用品だったセルロイド
セルロイドとは、ニトロセルロースと樟脳などから生成される史上初の熱可塑性樹脂のことである。1856年にイギリス人の科学者、アレキサンダー・パークスによってはじめて生成が成功するも、コストがあまりに高かったことから、1870年にアメリカのジョン・ウェズリー・ハイアット博士が改良し、実用化に至った。
当初の目的はビリヤード球に使われる高価な象牙の代用であり、その時はまだ大変高価なものとして扱われた。
しかし、19世紀末になると大量生産が可能になり、眼鏡のフレームやホーロー容器の代用、写真乾板からフィルムとして用いられるようになる。その製造技術を開発したハンニバル・グッドウィンの会社が現在のイーストマン・コダック社の前身である。
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