パレスチナ革命に身を投じた伝説的映画監督・足立正生が語る「テロと宗教と切腹集団“死のう団”」とは?
■フランスでは大ブーイング?
――海外でドナルド・トランプさんですとか、ドイツでもそういう右翼的な女性候補がいらっしゃいますけど、断食芸人は海外では上映されないんですか?
足立 ロッテルダム映画祭っていう映画祭があって、ベルリンとかカンヌとかの新興宗教とは違って、アバンギャルド映画とかそういう特集をやる一番古い映画祭なんですね。そこへ出さないかっていうんでね、出すことにした。僕の古い映画も6本やって、シンポジウムもやって、その上でインターナショナル・プレミアムをしようっていうんで、今みんな出かけていってます。
私は旅券申請したら「日本の利益と保安を著しく損なう可能性があるので出しません」って(笑)。それで僕はいかないんだけど、非常に評価してくれて、それが1月27日から2月3日までやってます。
そこで特に期待してるのはね、映画の中で「私たちはシャルリエブドだ!くたばれ!」みたいなことを言ってるでしょ。シャルリエブドってISに攻撃されたイスラムを攻撃する漫画雑誌なんだけど、僕はその真逆をやってる。
フランスが私の映画をボイコットすることはないと思うんだけど、そのぐらい彼等にとっては、最も自分たちの言葉・世界とは違うものっていうのを出して見せてるから、恐らくブーイングが凄いと思いますよ。
――でも、ブーイングがすごいってことは素晴らしいってことじゃないですか。
足立 うん。「やっとわかったか」って言ってやる(笑)。
■大友良英の音楽について
――音も音楽もよかったですね。
足立 ああ、そう。ありがとう。大友良英の音楽もトボけててよかったでしょ。
――珍しいですよね。監督の映画でちょっとポップな感じの音楽を使うのも。
足立 あれも北九州でライブとトークっていうのがあって、俺と大友さんが呼ばれていって合流してトークしたんだけど「ところで大友さん。私の次の映画の音楽はできてるかね?」って言ったの。
「私は幽閉者を完成させたあと、次のテーマを決めて本を書き始めた。あなたヨーイドンで曲を作ると言ったじゃないの。俺は断食芸人という立派な本を書き終わってるのに、あんた音楽は作れてるかね?」って言ったら「そうきたか!」とか言って「みなさん。ライブ中止!これから断食芸人の音楽を録音します!」って言って本当にやめてね。
まず「ここに録音できる人や装置はありませんか?」って言ったら会場にいたの。近くだから車でいって持ってきてくれて。それから「楽器ができる人」って言ったら、ホームレスでいつも自分で音楽聞くために蓄音機をリュックに入れて持ち歩いてる人がいて、その人が笛を吹けるって。
それでステージの奥にある楽器という楽器を全て持ってきて叩いてみたりしながら「これ、いいね」って女学生に演奏手伝ってもらってね。大友がポケットにある小銭を全部出して「聞こえる音とのかかわりは、自分の気分でやって欲しい。それをどんどん落として」って、シンバルに小銭を落としたり。そういうようなことをやってヨーイドンでやったんですよ。お客さんはライブやるより面白がってたね。そうやって録音したものを、東京のスタジオでミックスして映画の中で使ってます。
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