パレスチナ革命に身を投じた伝説的映画監督・足立正生が語る「テロと宗教と切腹集団“死のう団”」とは?
■軽々しい正義の言葉
――経験がとんでもないですよ(笑)。話は映画にもどりますけど、主人公の断食芸人がオレンジの服を着て連れていかれたりするじゃないですか。あれはやっぱりISに殺された後藤さんとかのことですか?
足立 そうそう。「これえから始まるイスラム国ショー」って言って、やってることはグアンタナモとか、あれみんな同じだからさ。ISがグアンタナモでやられた、あるいはアフガンでやられた報復に、みんな同じものを使用してるね。それで、ウチも同じものを着てSMの女王が、ねじ式女医が出てくるという。
――足立監督はゲリラをされていたじゃないですか。それで、今のISとかはどう思いますか?
足立 まず「ISが何か」って言ったら。宗教勢力と呼ばれているけれども、そういう意味で言えばなんでも宗教勢力ですよ。創価学会や公明党だって宗教勢力。そういう意味で言えば、否定しようがしまいがそれは宗教勢力であると。
ただし今までとの違いは、ISはアメリカと湾岸諸国が援助してできた。それが大きくなって飼い犬に手を咬まれたんで、お茶を濁すみたいな空爆をやったりしてるけど。
あの辺りを全部焼け野原にするために、軍事援助、経済援助、それから兵力もよそからわざわざ持っていってつくったものなのね。それが改めて「自分たちは宗教勢力である」と言ってるだけでしょ。
宗教が持っているファナチズムってのがあるんですよ。そういう狂信的なものを振りかざすことによって、人が解放されることなどはないわけで、それを武器にしてるという意味で言えば、つまりそれは恐怖。恐怖を呼ぶものをテロと呼ぶんだけどさ。
それは国家が軍隊で恐怖させて国家テロをやってるのと同じで、彼等も同じことをやってるだけよね。そういうものとして、僕らがやってきたこととは180度以上違うものだし、僕はISのやり方を全く認めないというのがあるんですね。
ただし、ISを生み出した根拠があるわけでしょ。イスラエルは国を守るために戦争をやっていい。パレスチナは土地を盗られたから取り戻そうとしてるんだけど、それはテロだっていう。
こういう具合に「テロかテロじゃないか」あるいは「正否の基準わけ」がはっきりと二重になってる。イスラエルは正しくてパレスチナはダメとか、アラブはダメで欧米諸国が正しいというようなね。
そいういった二重基準を持っている以上IS潰してもまた出てきますよ。繰り返してきます。その二重基準っていうのを欧米がやめない限りは続くものだと思ってますよ。
だから、どうしてもそういう具合に同じもの「国家テロ」と「宗教テロ」と自分たちのレッテルで中身をカバーしてしまう。それはさっき言った、正義の言葉が軽々しい中身のないものとなっていってるのと同じ。
そういうマニピュレーションが働く以上、もうこっち側はこの身体よね。あるいは断食よね。自分なりに探すことによって抵抗する。「生命で抗う」以外ないわけですよ。
――足立監督はそういう映画をずっと撮っていらっしゃるじゃないですか。
足立 いやいや、好きこのんで撮ってるわけじゃなくて、考えたら「こんなの許しておけるか!」ってなるでしょ。
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2024.10.02 20:00心霊パレスチナ革命に身を投じた伝説的映画監督・足立正生が語る「テロと宗教と切腹集団“死のう団”」とは?のページです。ISHIYA、カフカ、断食芸人、足立正生、ゲリラ、切腹、大友良英などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで