あの未曾有の震災から5年が経つ。山谷、築地と“失われつつある風景”を撮影してきた写真家・新納翔が震災直後の被災地を捉えた写真と文章を寄稿した。
■黙れこの偽善者どもが!
3.11直後からSNS上では震災から目を背けるなというような言葉が流れていた。瞬時に流されていくTwitterの画面に虚しく浮かぶそれらの言葉に、得体の知れない気持ち悪さを感じていた。言葉には出さなかったが、モニタ越しに黙れこの偽善者どもが!と思っていた。被災者の方はともかく、現場を見ることもなくネットに溢れる情報だけを鵜呑みにして正論をふりかざしているように見えて仕方なかった。自分の眼で見てから判断する、それが私の写真家としてのスタンスだと考えている。
そんな矢先、知人の編集者が福島第一原発に行くから一緒に行かないかと声をかけてもらい同行することになった。他には元東電の職員で原発の設計に携わったAさん、現東電の職員で情報がコントロールされた中、実際に何が起きているのかこの眼で見たいという新入社員と計4人となった。