その日はホットスポットを何箇所か回りつつ原町の方へ進んでいった。震災後まだ通れない道が多くカーナビは糞の役にもたたない。地元民であるAさんがいなければ海岸の方にたどり着くこともできなかっただろう。震災から三カ月、まだそのまんまといった感じだ。途中立ち寄った南相馬市の中川ダムでガイガカウンターをかざしたらマックス100マイクロシーベルトという異常な値が出た。湖底に放射性物質が沈殿し行き場がなく濃度が日に日に増しているからだとAさんは言う。予想以上の値に一行はすぐに車に戻った。
しかしもしガイガカウンターがなければこの事態に気づくことは不可能であろう。震災から福島第一原発の事故と連鎖的に起こった災難と、それを伝えるインターネットという一見便利なものを介して、時にテレビ・ラジオよりもTwitterの方がいち早く情報を得られるといった利点もある反面、根拠のない憶測まで高速で拡散されていく。情報化社会は本当に怖い。あたかも事実を知ったかのようになってしまうことへの怖さを目の当たりにした。