危機一髪でも性行為!? 1年半、夫婦で世界旅行した男の“夫婦事情”を『鶯谷』本橋信宏が訊く!
私が印象に残っているのは、1980年、「飛んでイスタンブール」などのヒット曲を持つ庄野真代夫婦が世界一周旅行に行って帰国した後に離婚してしまったことだった。夫は作曲家でおしゃれな夫婦だと思っていたが…。加藤和彦とミカ夫妻もまた、サディスティックミカバンドとして英国ツアーをしてきたが、離婚してしまった。郷ひろみ・二谷友里恵夫妻も新婚生活をニューヨークで送り、日本で暮らすようになって離婚している。
世界一周、海外で長く一緒に暮らしていると絆が深まり、離婚危機は遠ざかるのでは、と思われるが、どうも現実は違うようだ。
絆が深まる夫婦もいるだろうが、海外で一緒に行動しているうちに互いの欠点が目に付いてくる。海外ゆえに率直にコミュニケーションがとれるのは夫婦しか存在せず、ふたりの距離が短くなりすぎる。海外にいるうちはまだ外国の環境に目が行き、問題点がそれるが、いざ帰国すると、ふたりはお互いを意識するようになり、溜まっていたフラストレーションが爆発する。インドなどのように精神世界的な色合いの強い国に長期間行って帰ってくると、あくせく働くことに疑念が生じ、仙人のようになる。働かなくなった夫への愛想尽かしで夫婦別居……。
ところで松本夫妻はどうだろう? 474日間一緒にいて、大丈夫か、マッちゃん?
松本 大丈夫です(笑)。帰国してから、ずっと忙しく働いています。
『泥酔夫婦世界一周』を読んでいるうちに気づいた。
もともと似た者夫婦なのだが、旅が進むにつれて夫婦の表情がますます似てくるのだ。ふたりの笑顔といったら弥勒菩薩のようだ。奥さんが描くイラストは今回がデビュー作で、夫がとてもよく似ている。世界41カ国をめぐった松本夫妻は、いま第二の世界旅行をしている。生まれて初めて味わう処女作販促のための書店巡りの旅だ。
大丈夫。
似た者夫婦の絆は深まる一方だ…………………………………………………と思う。
(文=本橋信宏/『東京最後の異界 鶯谷』絶賛発売中!)
■本橋信宏(もとはし・のぶひろ)
1956年、所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。創造的かつ先鋭的な創作活動を続ける書き手として注目を集めている。ノンフィクション、小説、エッセイ、評論等、幅広く活躍している。著書に、『60年代 郷愁の東京』(主婦の友社)『東京最後の異界 鴬谷』(宝島社)など多数。最新作に『エロ本黄金時代』(河出書房新社・東良美季共著)がある。
■松本祐貴(まつもと・ゆうき)
1977年、大阪府生まれ。編集者・ライター・世界のマイナー酒・居酒屋研究家。大学在学中からライターをはじめ、その後、雑誌記者、出版社勤務を経てフリーで活動する。テーマは旅、酒、サブカル、趣味系など多数。初の著書『泥酔夫婦 世界一周』(オークラ出版)が発売中。2016年4月17日(日)H.I.S.旅と本と珈琲とOmotesandoにてイベントを開催予定。
・ブログ~世界一周~旅の柄:http://tabinogara.blogspot.jp/
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2024.10.02 20:00心霊危機一髪でも性行為!? 1年半、夫婦で世界旅行した男の“夫婦事情”を『鶯谷』本橋信宏が訊く!のページです。松本祐貴、世界一周、本橋信宏などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで