【大炎上のクジラ死骸写真】「命の冒涜というよりも…」複数の写真家に意見を聞いてみた

「ああ、この写真は問題になっているので見ましたよ。多少の反対意見が出てもそこに何かしら訴えるものがあればケビン・カーターが撮影した『ハゲワシと少女』のように作品になりえるのでしょうが、この写真は全くと言っていいほど救いようがないですね。このクジラに乗っている男性と撮影者が知り合いなのかはわかりませんが、生命の冒涜だと言われても仕方ないし、決定的なのが写真が下手だということです。このままだと迫力が足りないので、もう少し寄ってワイドレンズで捉えるとか、アマチュアでもそのくらいの工夫や構図力は求めらます。もし仮にクジラに乗っていたとしても見事なまでに自然と人間の関係性を表現した作品であれば、ここまで荒れなかったのに……」

 また他の写真家は、

「審査基準が明確になっていないんじゃないのかな。この女性ひとりに任せっきりというのが問題ですよ。普通はコンテストといっても複数で選出して、そこでも意見がわかれるものです。他によほどいい写真がないのかと思えば、そうでもない。オホーツクの自然を捉えた力作は結構あるのに、なぜこの写真が選ばれたのか謎ですね。それにしてもヒドい構図ですね。なんか横から盗み撮りしたみたいな……。こういうのは日の丸構図でもいいので、がしっと真正面からいってほしいですね、少なくとも」

 さらに某雑誌にてアマチュアコンテストを長年見てきた写真家は

「どこのコンテストもマンネリ化している傾向があるので、奇をてらった作品を選んでしまうことはあると思います。いい写真を撮ろうというより、選者の好みを研究してそれに合うような写真を撮るという本末転倒な人もたくさんいます。しかし、いずれにせよ写真によって変えられた歴史があるように、写真を世に出すということは相当の覚悟が必要なのです。ですから審査員はもっと慎重に選ぶべきだった。私だって批判覚悟で『いい写真はいい!』と選ぶこともありますが、どう見てもこの写真は選びませんよ。しかも『征服』ってなんですか…、だんだん頭に血がのぼってきましたよ」。

 知人の写真家に話を聞くに問題点は以下の3点のようだ。

・選出に際して基準が曖昧で統括者不在だった
・選者も撮影者も写真に対する考え、認識が甘かった
・写真がそもそも下手だった

■オホーツク海以上に荒れるフェイスブック

 この「オホーツクの四季」写真コンテストは専用フェイスブックページを設けているが、結果発表を境に荒れに荒れまくっている。当初は閑散としていて、「応募用紙は紋別市内の各施設に置いてあります。こちらのページにある画像を印刷していただいてもOKです。応募期限は1月31日(日)必着です。ただ、その頃の紋別は風雪が荒れやすいので、郵送される方はなるべく早めに投稿された方が安心ですよ」と、応募案内が掲載されていたにすぎなかったのだが、ここ1日で見ても100件以上の批判が投稿されている。

 さらにそれらの投稿についたコメントも考えると相当数の批判が殺到していることになる。これはTwitterでも同じ様子だ。

・なるほどこれがスバラシイ写真だというのなら、海岸いっぱいにトドとかラッコ、エゾシカやオジロワシ、ヒグマにシマフクロウなんかの死体を一面に並べて、そいつを踏みつけて撮れば来年の賞はいただきですね。
・携帯電話で気軽に写真が撮れる反面、写真コンテストでの選ぶ側の質の高さも求められると思います。
・この女流写真家ってアンチ・シーシェパードの過激派とかなの??
・え、これセルフポートレートなの?爆発したら大変だぞ。
・征服ってどういうことよ。日本を征服したってこと?

 16日15時現在においてはまだフェイスブックページも閉鎖されてはいないが、今後新たな展開になるのか気になるところではある。しかし、写真家たちが指摘する「そもそも写真が下手だった」という意見は、筆者がこの写真をはじめに見た時に感じた違和感の原因なのかもしれない。
(アナザー茂

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