ショーンKより凶悪な学歴詐称連続殺人鬼! 東大・京大教授、弁護士にまでなりすました「悪魔の申し子」とは?

■11歳の少女に正体を見抜かれた偽弁護士

 開けて昭和39年の元旦。弁護士バッジをつけた西口は、熊本県玉名市の寺に現れた。教誨師でもある住職は、戦後間もなく福岡で起きた殺人事件を冤罪と見て、再審請求運動を行っていた。これを助けたいと、西口は申し出たのだ。住職は感激し、2人は死刑論などを熱く語り合った。

 しかし、「西口の顔が交番に貼られている指名手配の写真だとそっくりだ」と告げたのは、小学5年生の住職の次女だった。最初は「失礼なことを言うな」と次女をたしなめた住職だったが、西口は卒業したはずの東大の著名な法学部教授を知らず、弁護士なら誰でも知っているはずの弁護士団体の名前も間違えていた。ホクロの位置まで殺人犯と一致していることを確かめて、住職は警察に通報した。

 3日の朝、駆けつけてきた刑事は、弁護士を装う西口の堂々たる態度に、人違いではないかと逮捕するのをためらった。指紋を確認して、ようやく逮捕に踏み切ったのだ。裁判が始まると、検察官は「史上最高の黒い金メダルチャンピオン」と言い、裁判長も「悪魔の申し子」と言った。福岡地裁小倉支部は、昭和39年12月23日、5人を殺害した西口に死刑判決を言い渡した。福岡高裁は控訴棄却、西口はいったんは上告したが、昭和41年上告を取り下げ、死刑が確定した。

 昭和45年、12月11日、死刑が執行された。享年44歳であった。
(文=深笛義也)

■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ

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1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)、『罠: 埼玉愛犬家殺人事件は日本犯罪史上最大級の大量殺人だった』(サイゾー)がある。ほか、著書はコチラ
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