3つのうち1つは地球外生命体が存在する「ハビタブル惑星」が発見される

 地球から水瓶座方向に40光年離れた恒星系に、地球と同規模のサイズの惑星が3つ発見された。そのうち少なくとも一つは、生命の居住候補として優れており、また地球外生命体が存在する「ハビタブル惑星」の可能性があるという。


■木星とその衛星系に類似した「居住可能惑星」

 今月初頭に科学誌ネイチャーで発表され、関係者の間で注目されている天体は、将来の人類の有力な“引越し先”になるかもしれない。

 地球環境と類似する環境範囲内にあれば、人類の移住、生命の発生や進化もなし得るという仮説に基づく宇宙領域を「ハビタブルゾーン(生命居住可能地域)」というが、今回見つかったものは恒星から届く放射線量が地球の数倍で、恒星との距離が近すぎることも遠すぎることもなく、地表温度も適度かつ地表に水があって生命が存在し得る条件を備えていると推測されている。

 3つの惑星が周回しているのはTrappist-1(2MASS J23062928-0502285)と呼ばれる矮星だ。赤褐色で表明温度が2600度と超低温(太陽の約半分)で質量は太陽の8%、大きさは8分の1ほどで、木星よりやや大きく、地球からはとても近いにもかかわらず肉眼でも望遠鏡でも見えないほどに暗い。この種の小さく暗い惑星は天の川付近ではよく見られるが、今回のTrappist-1はいままで同種の惑星が確認されていなかったエリアで発見された。

3つのうち1つは地球外生命体が存在する「ハビタブル惑星」が発見されるの画像1「Trappist-1」想像図 画像は「Wikipedia」より

 発見したベルギー・リエージュ大学の研究チームは、チリのアタカマ砂漠にあるラ・シヤ天文台で、口径60cmの望遠鏡を用いて調査を行っている。地球から太陽までの距離と比較すると、3つの惑星とTrappist-1 は20~100倍近く接近しているという。「この惑星系のスケールは太陽系というよりも、木星とその衛星系に類似している」そうで、3つすべての惑星がハビタブル惑星である可能性を視野に入れ、より大きな測定機器を準備することも検討しているという。

 天文学者らによるこれまでの太陽系外惑星研究の主流は、光源の明るい星に集中していたが、リエージュ大学では逆に光の弱い60の矮星の探査に着手。

「小さな惑星の周囲は、現時点で我々が持つ技術を駆使して地球サイズの惑星における生命を検出できる唯一の場所」なのだという。他の明るい惑星ではその明るさゆえに生命の痕跡が埋もれてしまうため、Trappist-1のような暗い超低温矮星こそ検出可能で、着目すべきだとコメントしている。

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