伊藤若冲の秘密を画家が暴露! 印刷と実物でまったく異なるように感じる本当の理由
そしてもう一点は、絵の中にあるいくつものハイライトこそが、「鳥獣花木図屏風」に限らず、若冲独特のトーンを決定づけているのだ。それを(ザツな絵で申し訳ないが)簡単に描いたイラストで見てもらおう。
おわかりだろうか。本物を目にした人なら、印刷で見た時とは決定的に違いがあることにお気づきだろう。いくら印刷でがんばっても、このような“盛り上がり”は雰囲気として感じられるのみだ。
それにしても、若冲という画家の全貌が、これだけの説明で語り尽くせるはずもない。なにしろ近年になってようやく、彼が描いた花の中に、肉眼ではわからない点描が発見されたというのだから驚きだ。まだまだ、たくさんの秘密が隠れているのだろう。
大勢のギャラリーは押し寄せるようになったものの、その“すべて”を理解できるようになるのは、もう少し先の世界なのかもしれない。
■小暮満寿雄(こぐれ・ますお)
1986年多摩美術大学院修了。教員生活を経たのち、1988年よりインド、トルコ、ヨーロッパ方面を周遊。現在は著作や絵画の制作を中心に活動を行い、年に1回ほどのペースで個展を開催している。著書に『堪能ルーヴル―半日で観るヨーロッパ絵画のエッセンス』(まどか出版)、『みなしご王子 インドのアチャールくん』(情報センター出版局)がある。
・ HP「小暮満寿雄 Art Gallery」
・ 公式ブログ
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2024.10.02 20:00心霊伊藤若冲の秘密を画家が暴露! 印刷と実物でまったく異なるように感じる本当の理由のページです。サブカル、小暮満寿雄、画家、江戸、伊藤若冲などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで