生きた微生物がハードディスクの代わりになる! たった1グラムのDNAに10億テラバイトのデータ保存が可能!!
――科学分野だけではなく、オカルト・不思議分野にも造詣が深い理学博士X氏が、世の中の仰天最新生物ニュースに答えるシリーズ
この数年、DNAを磁気ディスクやフラッシュメモリのような記憶媒体にしてしまおうという研究が進んでいる。5月31日の『Scientific American』の記事によれば、マイクロソフト社など複数のIT企業がこの研究に注目しているという。
国際的なデジタルデータの総量は2020年には約40ゼタバイト(400億テラバイト)に上るともいわれ、大容量データの保存・蓄積技術の開発は強く求められている。数ある類似研究の中でDNAストレージが注目されるのは、そのデータ保存量にある。何しろ、たった1グラムのDNAに、理論上は10億テラバイトのデータを保存できるというのだから驚きだ。
■DNAとは一体何か?
そもそも、DNAとはどのような物質なのだろうか。
DNAはデオキシリボヌクレオチドという物質が鎖状に連なった物質で、通常は二本の鎖が縄ハシゴのように絡み合った二重らせん構造を取っている。ハシゴの段に当たる部分はアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種類の塩基からできており、ATCGの4種類の塩基の並び順が設計図のデータになっている。
実は、生物の設計図を記録しているのはDNAの二本鎖の片一方の鎖だけだ。もう一本は完全な二重らせんを作るように作られた設計図を持たない鎖である。しかし、この鎖は設計図そのものではないものの、裏焼きしたコピーのようなものなので、バックアップやエラーチェッカーのような役割を担っている。つまり、DNAは二重らせん構造を持つことで化学的な安定性と情報の保全性までも図っているのだ。
DNAが情報を保存する物質として優秀であることは、地球上のほとんどの生物がDNAを利用して遺伝情報を伝えていることからも分かる。しかも、なんと、70万年前の化石から抽出された例があるほどDNAは保存性に優れているのだ。なるほど、科学者達がデータストレージとして目を付けるのも分かるというものだ。
では、どうやってDNAにデジタルデータを書き込むのだろうか。
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