相模原障害者施設殺傷事件でニュースが決して報じない戦後最悪の殺人鬼植松容疑者があぶり出した日本の最暗部

 相模原障害者施設殺傷事件でニュースが決して報じない戦後最悪の殺人鬼植松容疑者があぶり出した日本の最暗部の画像1画像は「ANNnewsCH」より引用

 神奈川・相模原市緑区の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」で起きた“19人殺害事件”は、日本の最暗部をあぶり出す結果ともなった。逮捕された同施設の元職員・植松聖容疑者は26日、施設に押し入り、鋭利な刃物で入居者19人を次々と殺害、26人に重軽傷を負わせた。亡くなった人は首や顔を中心に刺され、その傷は神経や気管奥の骨に達するものもあった。

 植松容疑者は同施設で約3年間働き、今年2月に退職。直前には衆院議長公邸を訪れ、大島理森議長宛てに「作戦内容」と記した手紙を持参していた。手紙には「職員の少ない夜勤に決行致します」「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡を取れなくします」「職員は絶対に傷付けず、速やかに作戦を実行します」「260名を抹殺した後は自首します」など、犯行計画が綴られていた。

 同容疑者は警察の取り調べに「障害者なんていなくなればいい」と供述。重度の障害者を殺害することに異常執着していた様子がうかがえる。また、手紙では「保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い、居ても立っても居られずに本日行動に移した」とも述べていた。実際、職員には傷ひとつ負わせていないことから、他のシリアルキラーとは一線を画すようにも思える。

 ある臨床心理士は「犯人の手紙を読む限り、彼も精神疾患者である可能性が高いが、障害者施設の現実を見て、物事の考え方が変わったのだと思う。本人は動くことも考えることもままならない障害者を殺すことで、彼らを“解放”したと考えているのかもしれない」と述べる。

 ニュースなどでは決して報じられないが、障害者施設の現実は想像以上だ。現在、都内の某施設で働く女性が匿名を条件に内情を明かす。

「事件現場となった施設は相模原から徒歩40分の距離の山奥にある。それが何を意味するか? 言い方は悪いですが、隔離施設です。都内のほかの施設で手に負えなくなった方々が最終的にそこに入ります。ひとりでは食事や排泄もできず、寝たきりで意思疎通できない方も多くいる。職員の気苦労は相当です」

 日本の障害者ケアは自立支援センターのように社会に溶け込むことをバックアップするものもあるが、重度になると「治す」ではなく「抑えこむ」手法を取る。

「暴れたらベッドに縛り付ける。睡眠薬や精神安定剤などを投与する。効き目が薄くなったら投与する量を増やす。それを繰り返すと最終的にどうなるか? 思考がなくなり、単純な反応しかしなくなります。目の前に物を出されたら、それが何か判別せずに口に入れる。おなかが減ったら、机やベッドを食べようとする。以前いた職場では自分の指を食べていたこともあった。そうした光景を免疫のない人が見たら『生きるってなんだろう』『人間ってなんだろう』と考え込んでしまうかもしれません」(同)。

 植松容疑者は帝京大学卒業後、教員を目指したものの断念。その後紆余曲折を経て「津久井やまゆり園」で働くことになった。そこで見た“現実”に衝撃を受けたことは想像だに難くない。

「事件の背景には、日本の障害者ケアの問題が横たわっています。薬漬けにされた入居者を見ても家族は何も言わない。施設には製薬会社の営業部員が笑顔でやってくる。これ以上言うのはやめておきますが、日本の最暗部と言っていいでしょう」(同)。

 とはいえ、抵抗もできない障害者を次から次へと殺して回った植松容疑者を擁護することは決してできない。今後精神鑑定がなされる見込みだが、責任能力アリと判断されれば極刑は免れないだろう。我々はこの事件を教訓にしなければならない――。

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