勃起した男性器より巨大な鼻を持つピノキオ男、トーマス・ウェダース
地球にこれだけたくさんの人がいれば、大きい人小さい人、美しい人醜い人、それこそあらゆるタイプの人間がいてもおかしくない。なかには、ちょっと普通では思いつかないような奇妙な容姿の人間もいるだろうし、いた事実もある。先月8月26日のイギリスの「Express」紙には、16世紀のイギリスのヨークシャーに巨大な鼻を持った男がいたということがレポートされている。
■人類最長記録19.5センチの鼻!
男の名はトーマス・ウェダース。人類最長の鼻の記録を保持しており、16世紀の男でありながら、いまだに誰にもその記録を破られていない。実にその鼻の長さは19.5センチ。男性の勃起した男性器の長さの平均が約14センチということであるから、いかにその鼻が長かったかが想像できる。
記録に残されている彼は、もちろん最初は差別や嘲笑の対象とされていたが、後にサーカスのフリークショーの一員となり、その鼻をお金に換えていたということである。子供のころ読んだピノキオさながらのロングノーズである。
現在、彼の等身大の蝋人形がロンドンのピカデリーサーカスにあるアトラクションで見ることができるということらしいが、死後300年以上もたつ今でも、見せることでお金が稼げる鼻はそうそうないだろう。
■スタージ・ウェーバー症候群の女性
同じく、そのアトラクションではアメリカ出身の女性、グレース・マクダニエルの蝋人形も見ることができる。「ラバ顔女」と呼ばれたグレースは、1888年にアイオワ州で生まれ、「最も醜い女」としてサーカスのフリークショーに出ることで生計をたてていた。
ショーでは、彼女の醜悪な顔を直視し、そのまま気絶してしまう客もいたという。彼女の場合、スタージ・ウェーバー症候群と呼ばれる毛細血管の奇形を伴う難病によって、顔面の奇形がもたらされていたこともわかっているが、現在でも原因が特定できないような難病に、当時の医学が太刀打ちできるわけもなく、生涯その顔のままだったという。
しかし、人間の価値は容姿にあらず心にあるという言葉通りに、彼女にはその素晴らしい人格に惹かれた求婚者が絶えずいた。この奇病は遺伝性も伝染性もなく、彼女は幸せな結婚をし、ごくごく普通の男の子を生んだという記録が残っている。
日本では、なかなかこういった蝋人形にお目にかかるチャンスもない。あるのは絶滅寸前の秘宝館くらいである。ロンドンを訪れた際に一度見ておくと、人間の奥深さに気付かされることになるだろう。
(文=高夏五道)
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