「刀をもった瞬間、白目が消えて黒い目になった女性がいた」現代に生きるサムライ・阿部一刀斎師範インタビュー
――殺されかけた武芸者から技を盗んだということですね。続いて今後のビジョンについて、阿部さんの現在の目標を教えてください。
阿部 2020年に東京オリンピック・パラリンピックがありますが、日本の文化、武士道の精神を世界に発信するためにも、開会式には日本刀による抜刀の演武が絶対必要だと思っていて、そこで演武することを目指しています。
――阿部さんは日本だけでなく、海外からの観光客にも抜刀体験を通して、日本文化を広める活動を積極的になさっていますよね。そういった活動を通してどのようなことを伝えたいですか?
阿部 私は、強さとは元々持っているものだと思っています。刀を通してその元々備わってる心の強さに、まず気付いてほしいのです。それをさらに強いものにしていくのが、武道の役割です。そして、「全てはひとつ」というのが私の信条なので、国籍なんて関係なく、武士道を世界中に伝えたいのです。これは私の最終目標なのですが、弟子を作って道場を引き継ぎ、私は中東などのテロリストが多く、治安が悪い地域や無政府状態の国に移って、武士道を広めたいのです。これは夢ではなく、絶対に誰かがやらなければいけないことだと思っています。洗脳されテロリストになってしまうことが多いと思うのですが、そうならないために必要な教養や道徳、他者に対する敬意といったことが、武士道には詰まっています。
――平和のために、武士道を広めたいということですね。武士は戦いを生業としていた、というイメージがどうしてもあるのですが、本来の武士道とはどのようなものなのでしょう?
阿部 私が思うに幕藩体制とは、徳川幕府に富と権力が集中するような社会だったと思います。実力があっても身分や家、藩があるので、抜きん出ることができない社会です。その社会を維持するために、武士道が作り変えられていました。「皆と同じがいい」とか、上の者のいうことは絶対で、「将軍様のために」という考えが美徳とされる価値観は、その時作られました。そういった秩序を重んじる心というのは、日本人の美徳だとは思いますが、本来の武士道とは違います。
――平和が250年ほど続いた江戸時代に、武士道が作り変えられていたのですね。そして、それは今の日本人にも受け継がれていると……。
阿部 はい、江戸以前の侍は平気で裏切っていましたし、御恩と奉公の関係が崩れたらすぐ離れていってしまいます。派手さを競う文化もありましたし、彼らは「俺は俺だ」と考えていました。そのおかげで戦乱の時代が続いた側面もありますが、その時代の侍を支えていたのは、「正々堂々戦って、自分の一生を全うするんだ」というシンプルな武士道でした。
――確固とした自己の構築を目指す武士道に、未来へのヒントが隠されているのかもしれませんね。最後の質問になります。今回、阿部さんには日本刀にまつわる不思議な体験の数々を聞かせていただきましたが、オカルト現象を信じていますか?
阿部 今回お話したこと以外にも不思議な霊体験をたくさんしてきましたので、そういったことは信じています。それに、宇宙人もきっといると思いますよ。
いかがだっただろうか。3回にわたる阿部一刀斎師範へのインタビューで、“現代の侍”の日本刀・武士道精神に対する深い愛と理解、そしてアツい情熱を感じていただけたのではないだろうか。今回、阿部さんのご厚意で筆者も試し斬りを体験させてもらい感じたのだが、人を殺めうる刀で実際に斬ることは、ゾクッとするような日常生活で感じることのない独特の緊張感を伴うものだった。日々、そうした緊張感と向き合い鍛錬を積むなかで、阿部さんが到達された境地の一端を感じ、生きるヒントにしていただければ幸いである。
(取材・文=坂井学)
※全インタビューはコチラ
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