放送禁止用語「メクラ」を連発! 映画『特命警察盲目刑事(ブラインドデカ)』をメッタ斬り
「目」は、人嫌いで課になじめず仕事を干されている公安4課の修子。盗聴など諜報活動のプロだ。スケバン刑事のビー玉のお京・相楽晴子が演じた。「手」は、半年前に素行不良で懲戒免職になった元刑事の五朗。演じたのは、テキヤを経て菅原文太の付き人になり、東映Vシネマに40作以上出演した菅田俊。特撮ファンには、仮面ライダーZX(ゼクロス)に変身する村雨良役で知られている。
「足」は、バイクと車を転がす腕は一級の暴走族・淳(斉藤由貴の実の弟・斉藤隆治)。拘留所から超法規で出所させメンバーに加えた。ちなみに、拘置所で淳と話しているガラの悪いパンチパーマは、けーすけという芸人で筆者の遊び友達(笑)。『電車男』(フジテレビ系)にセミレギュラーで出演し、『ONE PIECE』(同)でMr.7、カマキリの声優もこなす多才な怪人だ。
愛知県丸池市に建設予定の研究学園都市は、細菌研究所や小型原発まで有するため、誘致を巡って地元市民の反対運動が起きていた。調査によると丸池市の地盤は脆く、施設を建てるには大きな危険が伴う。賛成派の栗林代議士らは、学園の建設を請け負う大企業から賄賂を受け取っていた。企業側は調査データを改ざんして公表した。それを嗅ぎつけた地元暴力団・神崎組は改ざん前のデータを入手し、栗林と企業にユスリをかけたのだ。
暮見チームの仕事は、そのデータの奪回。幾度かの失敗を経て、何とか成功。そして、ついに暮見と神崎が再会する。暮見は神崎の首を絞め、恨みつらみを吐き出す。だが神崎が「5 年前、オマエは当銀に売られたんだぞ」と衝撃の暴露。暮見は、それを何となくわかっていた様子を見せる。そこへ神崎組の組員達が駆け付け、銃撃戦に。暮見は銃を使わず、白い杖で座頭市のように組員を倒していき、神崎は丸池署に留置される。
暮見は当銀にデータを渡し、報酬7千万円を受け取る。だが神崎は留置場で首吊り自殺に見せかけて殺され、学園都市の開発にゴーサインが出る。当銀は出世のため、栗林代議士と癒着していたのだ。
当銀は暮見たちの口封じを計り、巻き込まれて銃弾に倒れる亀さんと淳。
「亀さん、あんた、どんな顔してたんだろな……。スケベで寂しがり屋で気が小さくて。淳、オマエの笑い顔ってどんなふうだったんだ」
仲間の死に涙する暮見。
「5年もメクラやってんだ。不自由はないさ。でもふたりの顔、一度でいいから見たかったぜ」
後日、「栗林邦男くんを励ます会」が開かれ、その会場前には、正装した暮見、五朗、修子の3人の姿が。栗林のスピーチ中、ふらっと現れた暮見に驚く当銀。サングラスを外し、目を開ける。暮見の瞳はない。だが、暮見は当銀の額を1 発で撃ち抜き、3人は雨の降りしきる夜の町へと消えていく。
劇中で頻繁に使われる「メクラ」は21 世紀に入って使用されることはなくなったが、「あん摩」は「マッサージ師」に言い換えられるケースが多い。これを「言葉狩り」として、日本古来の施術に誇りを持ち、あえて自ら「あん摩」と名乗る生業の者も多数いる。だいたい「あん摩」と「マッサージ」では施術が違う。ちゃんと法律にも「あん摩マッサージ指圧師はり師・きゅう師等に関する法律」があり、国家資格に合格し付与される免許は「あん摩マッサージ指圧師免許」だ。
また、タイトルにある「盲目」は、『日本テレビ放送用語ガイド』では「使用して問題ない語」となっているが、これが「盲目的」「文盲」「色盲」となると、「使用しない方がよい語」になる。「盲」が付く表現には注意が必要だ。
■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
ウェブ連載・「幻の映画を観た! 怪獣怪人大集合」
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2024.10.02 20:00心霊放送禁止用語「メクラ」を連発! 映画『特命警察盲目刑事(ブラインドデカ)』をメッタ斬りのページです。特命警察盲目刑事などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで