4月3日より、フォトグラファーハルさんの写真集『FLESH LOVE RETURNS』の個展が新宿御苑の「PLACE M」で始まる。
第1作である『PINKY & KILLER』に始まり、布団圧縮袋の中で抱き合う男女を撮った『FLESH LOVE』、さらには、愛用の品々と一緒にパッキングして撮影した『雑乱』まで、「愛し合うカップルを1つにしてしまえ!」というシンプル、ゆえに強力な切り口で撮り続けてきたハルさん。昨年10月に発表した最新写真集『FLESH LOVE RETURNS』はスタジオから飛び出し、ロケ現場で撮影した作品を収録したものだ。風呂場で、キッチンで、住宅の前で等々、カップルごとに場所、背景は異なる。共通しているのは、特注の特大布団圧縮袋で真空パックされていることと、どこも2人にとって思い入れのある場所であることだ。
■愛のある場所でカップルを真空パック
ビルの屋上に高層団地の中庭、バーの店内。各々が選んだ場所で真空パックされたカップルたちの姿は異様でありながら、不思議とその場になじむ。無機質な背景で写された『FLESH LOVE』から受けたフリーキーな印象は落ち着き、生活の匂いまでも感じさせるのは、彼ら彼女らの日常が写り込んでいるためだろう。どんな生き方をしてきたのか、どんな場所で愛を育んできたのかが情報としても空気感としても表れていて、思わず2人の生活を想像してしまう。カップル達の境遇や歴史までを写し取った、少々異質なポートレートたちなのだ。
布団圧縮袋に真空パックし、息を吸うことさえままならないレベルまで密着させることによって2人の愛を視覚化した『FLESH LOVE』の撮影がひと段落した時期に、ハルさんはすでに『FLESH LOVE RETURNS』のアイデアを思いついていたという。ところが、人間が立った状態でも入れるビッグサイズの袋を特注で用意して実際にテスト撮影を行ったところ、いまいちピンとこなかった。