【最強武器】流れ星からできた妖しい刀「流星刀」が作られた動機が中二病だった! 明治期に榎本武揚が抱いたロマンと製作秘話

■刀工を苦しめた隕鉄の性質

intetsu.jpg流星刀の原材料「白萩隕鉄第一号」。えぐれているのは材料として削り出されたため。 Wikimedia Commonsより引用。撮影:Momotarou2012

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Shirahagi_Meteorite.jpg?uselang=ja>

 さて、鉄隕石から刀を作った刀工を漏れなく悩ませたのは「隕鉄には炭素がほどんど混ざっておらず、通常の鉄に比べて柔らかい」ことと、鉄隕石にはニッケルなどの「鉄よりも低い温度で溶ける金属や不純物が混じっている」、という2点です。

 つまり炭素含有量や硬さ云々という話以前に、玉鋼から日本刀を作るように鉄隕石を熱すれば、鉄より先にニッケルなどの溶けやすい物質のみが溶け落ち、鍛えるどころか加工さえ不可能なボロボロの塊になってしまうのです。

 日本には国産隕石から作られた流星刀の他にも、同様に鉄隕石から作られた日本刀がいくつか存在しています。アメリカ産隕石からの「隕星剣(いんせいけん)」、アフリカ産隕石からの「天鉄刀(てんてつとう)」、さらに混ぜ物なしの鉄隕石のみで作られた「純粋隕鉄刀(じゅんすいいんてつとう)」が、よく知られている鉄隕石を原材料とした刀です。この他にも、好事家たちによって鉄隕石由来の刀はいくつか作られているようです。

 これらいずれの製作においても、刀工は「炭素がほとんど含まれず、柔らかく、鉄より溶けやすい物質が混ざっている」という、鉄隕石の特徴に苦しめられています。


■偶然が味方してうまく行った例も

 刀工たちは隕鉄に対して様々な工夫を凝らし、鉄隕石の特性を強引にやり込める、そもそも隕鉄の量を少なめにする、あるいはギリギリのラインで隕鉄を加工可能な状態とし、刀を完成させています。

 例えば日本ではじめて鉄隕石から日本刀を作った、流星刀の作者である岡吉国宗は、玉鋼を3割、鉄隕石を7割の割合で混ぜ合わせた後、それを溶けて液体となる寸前まで熱することで、日本刀への加工が可能な状態へと持ち込みました。

 流星刀に影響を受けて作られた他の隕鉄刀も同様に「玉鋼と隕鉄を混ぜ合わせる」という、岡吉の取った手法によって作られています。

 ただ1件の例外である、混ぜ物なしの隕鉄のみで作られた刀「純粋隕鉄刀」の作者である刀匠「九代目法華三郎信房(ほっけさぶろう・のぶふさ。作成当時は信次)」の取った手法は、ある意味奇跡的に完成したような形です。

 信房のコメントによれば「一年余りの研究と苦心の末、思い切って高温で熱してみた所うまく行き、刀として鍛練できた。ただし一言に高温と言っても、わずかな温度の違いによって鍛着したりしなかったりする」とのことです。彼は刀工としての技術力に併せて偶然をも味方にした形で、作刀を成功させています。


 今回はここまでに致しまして、次回は隕鉄で作られた刀の斬れ味や実用性などなど、さらに創作作品へ登場させる場合に説得力を持たせるならば……という点に触れていきます。

後編はコチラ

■たけしな竜美
 オタク系サブカルチャー、心霊、廃墟、都市伝説、オカルト、神話伝承・史実、スマホアプリなど、雑多なジャンルで記事執筆、映像出演、漫画原作をしています。お仕事募集中です! Twitter:https://twitter.com/t23_tksn

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