月には膨大な量の水があることが判明! 過去の火山活動、バラ撒かれたガラスの粒… 想像を超える月の“本当の姿”とは?
アポロ11号計画をはじめこれまで撮影された月の地表を捉えた写真を見る限り、月面はカラカラに乾燥した不毛の大地が広がっているだけである。しかし、驚くべきことに月には大量の水が存在し、かつては活発な火山活動が起こっていたことが最新の研究で指摘されている。
■ガラスの粒が月面の水を地下へと“封印”した
乾ききった大地に見える月にもわずかながら水が存在することが最近になって指摘されてきているが、7月24日に科学誌「Nature Geoscience」で発表された研究では、月にはこれまで考えられていた以上に広範囲にわたって地下に水が存在していることを報告している。
米・ブラウン大学の地球惑星科学部の研究者であるラルフ・ミリケン氏とシュアイ・リ氏は、1970年代のアポロ計画の時代に採取された月面の砂を改めて詳細に検分し、火山の噴火活動による火砕流の影響で形成されたと考えられるガラス状の微細な粒が多く含まれていることに着目した。
数十億年前の月面では、活発な火山活動が起こっていたことが各種の研究で示唆されているのだが、このガラス状の粒もそのときに形成されたものであると考えられるという。そしてこのガラスの粒が、月面の水を地下へと“封印”したのではないかということだ。
今回の発見は将来の宇宙開発に重要な意味を持つということだ。もし月に水資源が豊富にあるとすれば、それを利用することで地球から水を運ぶ必要がなくなり、将来の月面開発と宇宙開発に多大なアドバンテージをもたらすものになるからだ。
■月面の開発は宇宙開発全体の進展に寄与する
2008年に打ち上げられたインドの月探査機・チャンドラヤーン1号には月面鉱物マッピング装置(Moon Mineralogy Mapper、M3)が搭載されており、月面の詳細なデータを刻々と収集・蓄積している。
研究チームはこのM3が収集したデータを分析することで、ガラス状の粒が月面の広範囲にわたって分布していることを発見し、その地下に水が滞留している可能性が高いと説明している。そして、特にガラス状の粒が多いエリアを示したマップを作り、地下に水がある可能性が高い場所を特定した“ホットスポットマップ”を紹介している。面白いことに、アポロ15号と17号が着陸した付近が偶然にもホットスポットであるということだ。
「探査機がとらえた地表に分布するガラス状の粒は、火山噴火が起こっていたときに月の内部にかなりの水があったことを示しています」とNASAの研究員であるアンソニー・コラプリート氏は総合学術誌「National Geographic」の取材で語っている。
月面の地表にあるガラス状の粒は2008年の研究で取りあげられ、月に大量の水が存在することを証明するものとして注目されたが、その後の研究は滞ったままであった。しかし今回、具体的に“ホットスポットマップ”が作成されることによって研究がまた一歩進展を見せることになったのだ。もし月面の地下に豊富な水があるとすれば、今後の月面開発で積極的に取り組むべき優先順位の高い案件になるだろう。火星移住計画もちろん重要だが、月面の開発は宇宙開発全体の進展に寄与するものになるのかもしれない。
参考:「The Verge」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊月には膨大な量の水があることが判明! 過去の火山活動、バラ撒かれたガラスの粒… 想像を超える月の“本当の姿”とは?のページです。水、月、火山、インド、仲田しんじ、ガラス、チャンドラヤーン1号、火砕流などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで