独自の道を歩む39歳2人が「孤独と老化と勉強」を語ったら、想像の斜め上だった!【哲学者・千葉雅也×俳人・北大路翼対談】
■北大路「40歳は恥ずかしさの絶頂」
――いわゆる寂しくて死んでしまいそうになる「孤独」ではないことはわかりましたが、「絶望」はいかがですか?
北大路 僕はどこかで自分を傷つけてないと落ち着かないっていうのはある。まぁ、昔から歌舞伎町で毎日酒飲んでいたけど、酒を飲みまくっていたのは「自虐の意志」が働いていたからだと思う。常にひどい目に遭ってないとイヤなんだ。幸せが嫌いなの。
千葉 でも、幸せそうじゃないですか。
北大路 幸せって、恥ずかしいじゃん。これは、照れだと思う。最悪なことに、年をとってこの恥ずかしさが際立ってきたんだ(笑)。
千葉 そうか、北大路翼の基本情動には「恥ずかしさ」がある。
北大路 40歳は恥ずかしさの絶頂で、不惑。それを超えると恥ずかしさがなくなるんだと思う。千葉さんは?
千葉 僕は、照れを乗り越えてきた感じかなあ。
北大路 僕は、照れを受け入れてきた。乗り越えられなかっただけかもしれないけど、でも、受け入れたからこそ、他人から「幸せそう」って見られるのかも。照れている状態も嫌いじゃないしね。
千葉 それってある種、古典的な男性性のあり方なんじゃないかなあ。それには抵抗があるんですよ。“照れるから多くを語らない”、もしくは“照れるからベラベラしゃべっちゃう”っていうような。
北大路 僕は、自分の照れはもっと女性的なものだと思っているんだけどね。
千葉 それは深い話ですね。僕は、ずっと男社会に違和感をもって生きてきて、自分の中で“ファルス的なもの”が当たり前になっていない感じがある。それが、古典的な男性性が苦手ということなんですけど。
■40歳だから家庭を作れと言われても
北大路 でも、40歳だから、家庭を作れとか言われない?
千葉 北大路さんでもそんなプレッシャーをかけられることがあるんですか?
北大路 ありますよ。俳句の会のおばあさんたちとか、家庭を作れって言ってくる(笑)。でも僕は、幸せの一番典型的な「家庭」が嫌いなんだな。恥ずかしくて体がかゆくなる。「40歳だから、家庭を作る」って、なんか照れるでしょう。
千葉 そうですね(笑)。僕は、世界はノーフューチャーで、本当は滅びればいいんだって思ってるんです。
北大路 ノーフューチャーって!!!
ごきぶりを笑へる飲食屋でありたい(『時の瘡蓋』より)
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2024.10.02 20:00心霊独自の道を歩む39歳2人が「孤独と老化と勉強」を語ったら、想像の斜め上だった!【哲学者・千葉雅也×俳人・北大路翼対談】のページです。北大路翼、松本祐貴、哲学、俳句、千葉雅也などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで