松本健次の作品/京都・滋賀連続強盗殺人事件
現在も死刑制度を残す日本、先進国では珍しい存在となっているのをご存知だろうか。
今回の展示のもともとの原型といえる『死刑囚表現展』は、大道寺将司という死刑囚の母・大道寺幸子が04年に亡くなった際、その遺産を死刑廃止運動のために使ってくれと託された死刑廃止フォーラムが基金を創設し、05年から始まった。その後、冤罪事件の元死刑囚・赤掘政夫からも資金提供があり、現在は「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」となっている。基金の運営会メンバーである深田卓氏と深瀬暢子氏が解説してくれた。
後藤良次の作品/宇都宮監禁殺人事件
「一千万円くらいの大道寺幸子さんの遺産をどうすれば有効に使えるのかを考えました。まず1年に100万円ずつ使うとして、ひとつは再審請求や恩赦申し立ての補助金。確定死刑囚一人10万円で毎年5人くらい、申し込んでもらえれば、お金を渡してあげるようにしました。そして、もうひとつが死刑囚の表現を公募しようというもの。日本の確定死刑囚は外部交通権が極端に阻害されています。獄中で会えるのは看守だけ、ほとんど会話もできず、本を読むくらい。自分の気持ちを発散するチャンスもないし、外部の人と交流して、何かを考えることもできません。だから、絵や文章で自分を表現することは、外部との交流の手段であり、“生きていること”の証しでもあるんです」