名越啓介写真集『Familia 保見団地』(世界文化社)
名越啓介氏/撮影・ケロッピー前田
伝説の雑誌『バースト』でデビュー、ロスのスクワッター、メキシコ系アメリカ人チカーノのギャングたちに体当たりで肉薄する撮影スタイルで、TBSの人気旅番組『クレイジージャーニー』で最もクレイジーな写真家として紹介された名越啓介が、写真集『Familia 保見団地』で第29回「写真の会」賞を受賞し、再び話題となっている。
この写真集は、約3000人のブラジル人、ペルー人、ボリビア人などが住む日本では珍しい移民の集住地区、愛知県豊田市・保見団地に住む日系外国人らの日常を活写したものだ。名越は約3年間そこに住み、「日本の中にある外国」あるいは「オリンピック後の日本に訪れる未来」ともいわれる保見団地の混沌としたリアルな断面を切り取っている。
そればかりか、そこに住む多国籍な住民たちに現代日本人には失われつつある人情味を発見し、ワイルドでオープンマインドな彼らの態度はひとつのカルチャーショックとして迫ってくるほどである。