上とともに名越啓介写真集『Familia 保見団地』(世界文化社)より
――保見団地をテーマにするきっかけは何でしょう?
名越「ずっと海外をテーマにしてきたので、日本の中で面白いものを探していました。3.11の震災後は石巻の自主避難所に半年から1年くらい通って、被災した家族を追っていたんです。その中でもっと、自分でなければ撮れないガツンとくるテーマを探していて、保見団地に出会えました。最初、名古屋にブラジル人の走り屋がいるというので、探しに行って辿り着いたのが保見団地でした。そしたら第一印象で、瞬発的に『ここに住んでみよう』という気分に(笑)。2013年の年末に初めて訪れ、翌年5月から住み始めました。最初に『バースト』で取り上げられたスクワッターを超えるようなものにもう一度挑戦したかったんですよ。実際、保見団地に来てみると、全然日本人に会わないし、なんだここって感じ。そこは日系プラジル人だけじゃなくて、アジア人やハーフも多い、まさに多国籍な場所でした」