心臓発作を起こしそうなほど芸術的! ホドロフスキー監督の新作映画『エンドレス・ポエトリー』/息子が語る「サイコ・マジック」の秘密に迫る!
――大変、興味深い話ですね。映画を観た人たちにも「サイコ・マジック」は起こるのでしょうか?
ホドロフスキー氏「無意識の部分での問題の解決というのは、自分だけでなく、この映画に関わったすべての人たちを癒すものになります。映画を観てくれた人たちも含めてね。父が書いた『Psychomagic(サイコマジック)』という本を読んでもらえれば、もっとよくわかると思います」
――お父さんやお兄さんたちとの関係を知りたいですね。幼少時代はどのように過ごしましたか?
ホドロフスキー氏「私が8歳のときに両親が離婚したので、それ以降は父と兄たちと暮らしました。兄たちとは年齢が離れていたので、女性を連れ込んだり、友達をたくさん連れてきたり、家の壁に絵を描いてしまったり、毎日が慌ただしく賑やかでした。でも、誰もがクリエイティブな行為に没頭していて、毎週水曜日には父がタロット・リーディングをやるので、皆でそれに聞き入りました。家に有名人が来ることも多く、他の誰も経験したことがないような貴重な幼少時代でした。私が音楽を志したのも、7歳のとき、父がジョージハリソンの家に私を連れていってくれたから。ジョージが私にギターは弾けるかと聞いてきたので、弾けないと答えると、その場でブルースのコードを3つ教えてくれました。それ以来、私は毎日のように楽器を触って過ごすようになりました」
――お父さんの傑作『ホーリー・マウンテン』を初めて観たのはいくつのときでしたか?
ホドロフスキー氏「6歳のとき、女性の爪をはがずシーンはずっとトラウマになってました。もちろん、大人になってからの方がもっとよく理解できました」
――大人になってからわかったというのは、個人的に何かを発見したということでしょうか?
ホドロフスキー氏「すごく面白い質問ですね。なぜなら、20歳のときには、私もその映画はマリファナやLSDをやりながら観る映画だと決めつけていました。でも、もっと大人になって、自分でも深い精神性の探求をするようになってからは、映画の見方が180度変わってしまったんです。『ホーリー・マウンテン』に隠された父のメッセージがやっとわかりました。つまり、あの作品は、あらゆるの幻想を解き放つことで、最終的には、人間が何かに固執することの馬鹿さ加減を笑っているんです。そして、最も重要なことは、いまここに自分がいることなんです」
――最後に日本の人たちにメッセージをお願いしてします。
ホドロフスキー氏「私たちは何かに囚われる必要はまったくない、国籍も、肩書きも、名前さえもいらない。それらは本当はなんでもないのに、みんなは囚われているんです。あらゆるものから自由になって、自分を解放し、身も心も全身自分になっていい。自分を生きる。そして、誰とも比べない。そうすれば、怖いものは何もないんです」
――ありがとうございます。公開が待ち遠しいですね!
アダン・ホドロフスキー(Adan Jodorowsky)
1979年、フランス生まれ。ホドロフスキー家の末の息子。『サンタ・サングレ 聖なる血』で映画初出演。その後多くの短編を監督する一方で、ジャック・バラティエ監督の『Rien, voilà l’ordre』、ジュリー・デルピー監督の『パリ、恋人たちの2日間』など、様々な作品に出演。ミュージシャン「Adanowsky」としても活躍しており、『リアリティのダンス』や本作のオリジナルサウンドトラックを作曲している。
【アレハンドロ・ホドロフスキー監督・新作映画公開情報】
映画『エンドレス・ポエトリー』
・http://www.uplink.co.jp/endless/
2017年11月18日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか全国順次公開
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影: クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ ほか
配給・宣伝:アップリンク
2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語/1:1.85/5.1ch/DCP
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2024.10.02 20:00心霊心臓発作を起こしそうなほど芸術的! ホドロフスキー監督の新作映画『エンドレス・ポエトリー』/息子が語る「サイコ・マジック」の秘密に迫る!のページです。ケロッピー前田、エンドレス・ポエトリー、アダム・ホドロフスキー、アレハンドロ・ホドロフスキーなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで