【地下鉄サリン23年】 オウムに潜入した筆者が「イニシエーション」修行を解説、なぜカルトに洗脳されるのか?
今月20日で地下鉄サリン事件から23年になる。麻原彰晃が率いた狂信的カルト宗教である「オウム真理教」が起こしたこの同時多発テロ事件では、13人が死亡し、約6300人が負傷した。17日には被害者の会が都内で集会を開き、「今も被害は続いている」と訴えた。世界を震撼させた凶悪犯罪に走った信者たちは、なぜこのような危険極まりないカルト宗教に洗脳されてしまったのだろうか? 実は、かつて筆者はオウムのアジトに潜入するという稀有な体験をしている。今回は、当時を回顧しつつ謎に迫ってみたい。
■地下鉄サリン事件概要とサリン誕生の経緯
1995年3月20日午前8時ごろ、当時の営団地下鉄・丸ノ内線、日比谷線、千代田線の計5両の車内で、化学兵器として用いられる神経ガス“サリン”が散布された。月曜日の朝、通勤ラッシュのピークを迎えて混雑していた車内はパニック状態になった。
サリンは20世紀初頭にドイツ帝国で生まれ、後にナチス・ドイツがその毒性に注目し量産したが、第二次世界大戦中に使用される機会はなかった。ヒトラー自身が第一次世界大戦で毒ガスによって神経系に一過性の障害を負ったことから、使用に消極的だったともいわれている。
しかし、それから50年後の日本に現れた麻原彰晃という男は、まったく躊躇することなくサリンの使用を命じたようだ。そして、命じられた残虐な殺人行為を逆らうことなく実行した信者たち――彼らは徹底的にオウムに洗脳されていた。
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