伝説のマフィア末裔、マリオ・ルチアーノが激白「サイゼリヤは場合によっては高級イタリア料理屋よりいい」
――マリオさんの親戚であるラッキー・ルチアーノは、映画『ゴッドファーザー』のヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)のモデルの1人と言われています。そんなマリオさんから見て、映画『ゴッドファーザー』はいかがだったでしょう?
マリオ 2回しか見ていませんが、ロマンチックなファミリー・ストーリーという印象です。格好よく、美しくできているけど、あれはあくまでフィクションの世界ですね。本物のマフィアはもっと悲しく、もっと危ない。あんなに甘いものではないです。
――マリオさんから見て、リアリティのあるマフィア映画はありますか? たとえば 『グッド・フェローズ』などはいかがでしょう?
マリオ あれはマフィアじゃなく、ギャング映画ですね。
――『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』はご覧になりましたか?
マリオ ああ、あれはよかったです。現実に近いものがありました。チャイナタウンでやっていることと、イタリアのマフィアがやっていること、どっちにもリアリティがありました。私は小さい頃、ニューヨークのリトル・イタリーにいて、隣接するチャイナタウンの不良グループとケンカになったことがあるんですが、その当時のことを思い出しました。街の雰囲気もうまく再現されていたと思います。映画では対立したままでしたが、私たちはチャイニーズのグループとケンカした末に仲良くなりました。その中の1人は私と会うためにわざわざ日本に来たんですよ。
――『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』はどうでしょう?
マリオ あれはユダヤ人の話ですが、結構よかったです。仲間5、6人のストーリー。悪さをしたり、恋をしたり、仲間を亡くしたり、裏切られたり。私にも似たようなことがあったな、と懐かしく思いながら見ていました。
――日本のヤクザ映画はご覧になりますか?
マリオ はい。『アウトレイジ』はやりすぎね。「馬鹿野郎、この野郎」言って、バンバンバンするだけ。ああいうのはあまり格好いいとは思えません。でも数日前に見た『孤狼の血』は本当に素晴らしい映画でした。俳優の雰囲気も格好よかったし、街並みとか人の言葉にもリアリティを感じた。『孤狼の血』はこれまで見たヤクザ映画の中で一番ですね。『仁義なき戦い』よりも私は好きです。
映画の話が出たついでに告知をすると、マリオが上梓した『ゴッドファーザーの血』にも、「映画化」の話が早くも浮上しているという。ハリウッドを含むメジャー数社から打診があり、現在、慎重に検討中とのこと。マリオの半生が誰の手によってどのように映像化されるのか、今から興味津々である。
さて、次回お届けするインタビュー後編では、トカナらしく、オカルトやミステリー、陰謀論や秘密結社などに関する質問をマリオにぶつけてみた。果たしてどんな答えが返ってくるのだろうか……?
マリオ・ルチアーノ●1964年、イタリア・シチリア島カターニア出身。映画『ゴッドファーザー』のモデルとなったとされる“伝説のマフィア”ラッキー・ルチアーノの血を引く。5歳のとき、父と共にニューヨークに渡る。その後、パキスタンやフィリピンなど世界各地で暮らし、23歳のときに来日。長らく経済ヤクザとして活動していたが、すでに足を洗った。現在、東京・茅場町でレストラン「ウ・パドリーノ」を経営。今年4月に『ゴッドファーザーの血』(双葉社)を上梓。最新刊に『破界: 山口組系組員になったゴッドファーザー末裔の数奇な運命』(徳間書店)がある。
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