少年の身体に閉じ込められた25歳の男 ― 奇病の激痛、崩壊する家族、医者の誤診…壮絶すぎる闘病生活
■ファブリー病とはいったいどのような病なのか?
ファブリー病はX染色体優性遺伝疾患である。細胞内の酵素の1つ、a-ガラクトシダーゼ活性(a-GAL)の欠損あるいは低下によりさまざまな症状が引き起こされる病で、男性が罹患する確率が高い。X染色体を2つ持つ女性の場合は片方に何かが起きても、もう1つのX染色体が健康ならばそちらが補うことができる。
しかしX染色体とY染色体を1つずつしか持たない男性のX染色体に異常をきたした場合、予備のX染色体がないために発症することから女性の罹患率が低いと見られている。以前は4万人に1人と言われていたが、2013年に7千人に1人の割合で発症するという調査結果が発表されている。
イギリスのロイヤル・フリー病院でファブリー病の研究を続けるアトゥル・メータ医師は、ファブリー病患者の多くが30代から40代で腎臓を患って亡くなっている原因として、前述のa-GALがなくなることで体内の細胞に不要な糖脂質、グロボトリアオシルセラミド(Gb-3)を分解できず細胞内、特に腎臓に蓄積し、障害を引き起こしているのだとしている。
腎臓の他にも神経細胞への影響から四肢の痛み、腹痛や関節の痛み、その他にも高血圧から心肥大、狭心症、脳卒中、脳梗塞など致命的な影響を及ぼす。また、これらの症状に悩まされる患者たちは赤紫の小さな発疹が肌に見られることも多い。そして男性ほど多数ではないが、女性患者については角膜混濁など自覚しにくい症状に苦しむこともあるのだ。
メータ医師が現在取り組む新しい治療法は、遺伝子に関する技術を駆使したもので、試験管の中で組織を育て、正常な形に直すべく不全な遺伝子に加えて欠損していた大量のタンパク質を作り出すことを目的としている。つまり患者に不足しているタンパク質を与えれば病原体を攻撃できるのではないか、ということなのだ。
■絶望のその先に見えたものとは…?
さまざまな症状や家族との関係に苦しむナダルスキさんだが、政府から受けられる援助は年間約28万円程度で、治療に用いる薬は年間何と2400万円を超える。しかし幸運なことにその高額な薬を製造しているメーカーが無料でナダルスキさんに薬を提供することに同意したのだ。また、この病気によって変形してしまった彼の足について整形外科技術士のマーチン・ゴデック氏は、裸足で一歩踏み込むだけでひどい痛みを伴う彼を思いやり「私たちはナダルスキさんの痛みを和らげようと努めています」と語っている。
25歳の青年として普通の生活が送れず、家族との関係も壊れてしまい打ちひしがれる日々を過ごすナドルスキさんだが、関係者はじめ、多くの人の支えで少しでも心身が癒えるよう心から願う。
参考:「Daily Mail」、「National Institutes of Health」ほか
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2024.10.02 20:00心霊少年の身体に閉じ込められた25歳の男 ― 奇病の激痛、崩壊する家族、医者の誤診…壮絶すぎる闘病生活のページです。アンチエイジング、老化、少年、清水ミロ、難病、X染色体、ファブリー病などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで