鹿児島の死者が土葬された「溶けゆく墓」の怪異! ボロボロの着物を着た老婆が現れ…!

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 鹿児島港から南南西に470キロほど離れたところに浮かぶ徳之島。レンタカーを借りて島を走ってみると、あふれんばかりの自然が広がっていることに驚かされる。このような島に住むことができたら、100歳くらいまで生きられるような気がしてくる。実際、徳之島は、長寿の島としても知られており、慶応元年(1865年)に生まれた故・泉重千代(元・長寿世界一)さんや、故・本郷かまとさんもこの島の出身だった。

 徳之島で目を奪われるのは、セルリアンブルーに輝く海だ。とりわけ、朝早く見る海の美しさには、心を洗われる。もちろん海の幸や山の幸も美味しい。本当に天国のようなところだが、ある集落に不思議な墓地がある。聞くところによると、その墓地に立ち並んでいる墓石が少しずつ溶け出しているという。古くなった墓石は、文字が読めなくなっているものも多いが、この墓地にある墓は、墓石自体が溶け出しているのだ。ある老人(72)は、次のように語る。

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「あの墓地には、80以上の墓がありますよ。その中には、大きな桶に遺体を入れて土葬しているところもありますね。このような墓では、埋葬してから数年経つと墓を掘り起こして骨を拾い、骨壺に入れてから埋め戻すことになっているのですが、それができていないところがあります。もちろん、それは風習というか習俗でもあるので問題のないことですが、それにしても不思議なことですねぇ。この夏は、これまでにないくらい暑かったのですが、そのせいなのでしょうか? 本当にどんどん墓石が変形していくのです。土葬されている人たちは、『早くここから出してくれ!!』と言っているのでしょうかねぇ……」

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 いびつに変形した墓を見ていると、死者たちの叫び声が聞こえてくるような気がしてくる。それにしても一体、どのような現象でこのようなことが起こっているのだろうか。年配の人が言うように、死者が何らかの叫び声をあげているなら、まだ分かりやすい。でも、ちょっと他にもいわくがあるように感じられる。徳之島出身の男性(46)が信じられないような話をしてくれた。

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「あの墓地には、もはや原型をとどめていない墓も多いですよね。本当に奇妙です。子どもの頃は、母親に『お墓に行ったらいけんよ。お化けが出るよ。森の奥の方に連れて行かれて帰れなくなるよ』などとよく言われたものです。それでもやっぱり何か気になるもので、中学校に入った頃に友だちと肝試しに行ったんです。すると大変なことになりました。墓の奥の方から、人影が近づいて来たんです。ボロボロの着物を着た老婆で杖を持っていました。もうみんな一目散に逃げましたよ。墓地の奥には、人骨が祀られているところがあるんです。そっちの方から来たので、あそこに関係している人なのかも知れません。それ以来、あの墓地には行っていません」

 改めて墓地に足を運んでみると、数日前に亡くなった老人の墓ができていた。そこには、本人が使っていたと思われる杖やメガネが置かれていた。さすがに夜暗くなってから行く勇気はなかったので、日中に足を運んだが、しばらく墓地を歩いていると、森の中から何者かの視線を感じた。そっちの方に目をやると、背丈の低い木が揺れていた。もしかすると、徳之島出身の男性が見たような老婆がこちらの様子を伺っていたのかも知れない。あまりにも奇妙なことが起こる墓地。暗くなってから近づく者はいない。

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文・写真=小倉門司太郎

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