「首ポキ」で死ぬリスクがあることが判明! 関節を鳴らした瞬間に脳卒中や植物状態に…

■カイロプラクティックの施術で椎骨動脈を損傷し死亡する事故も

 彼の妻、レベッカさんは「夫が脳卒中を起こしたなんて信じられない」と話している。夫は首の骨を鳴らすのが癖になっていて、彼女はこれまで何度も彼に首を鳴らさないように忠告していたのだが、とはいえそれが原因で脳卒中になるにはあまりに若過ぎるので、とても奇妙なことのように思えたのだ。

 結局ヘイダー氏はマーシー病院の集中治療室で数日間の治療を受けた後、リハビリテーション施設に送られることになった。

「私は怯えていました。彼は死ぬことを心配していなかったと言っていましたが、私は彼が死ぬのではないかと心の底から心配しました」(レベッカさん)

 ヘイダー氏は一命を取りとめたばかりでなく、理学療法の助けを借りて、数週間で歩けるようになった。最近では家の中で簡単な家事や、1歳と5歳の子どもの世話もできるようになったという。しかしそれでも身体のバランス感覚が失われ、左腕のコントロールが困難で、右腕と右脚の感覚も幾分欠如しているなど、長引く症状が残っているという。

「首ポキ」で死ぬリスクがあることが判明! 関節を鳴らした瞬間に脳卒中や植物状態に…の画像3
画像は「YouTube」より

 前出のナカガワ医師によれば、椎骨動脈は脳幹に血液を供給する重要な役割を果たしており、今回のヘイダー氏のケースはもっと悪い結果になる可能性があったという。椎骨動脈の裂傷が脳底動脈に影響を与えた場合、脳卒中によって昏睡を引き起こしたり、永久的な植物状態になる可能性があったことにも言及している。

 2016年にはアメリカのトップモデル、ケイティ・メイさんがカイロプラクティックの施術で椎骨動脈を損傷し、その8日後に死亡するというショッキングな事故も起っている。

 どうして人によって動脈が裂傷しやすいのかについて、詳しいことはまだよくわかっていないのだが、脳卒中コミュニティの専門家たちの“勘”では、それぞれの血管壁の状態に関係があることが示唆されている。

 ナカガワ医師によれは99.9%の“首鳴らし”は何の問題もないというが、その0.1%の可能性がヘイダー氏に襲いかかったということになる。この0.1%のクジを引かないためにも、首の骨を鳴らす癖は直ちにやめたいものである。


参考:「Science Alert」、「Washington Post」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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