騒動を起こした白装束集団「パナウェーブ研究所」本当のヤバさとは!? スカラー電磁波、ニビル滅亡論、金星人… ASIOS会員が総括!

 パナウェーブ研究所によれば「“スカラー波、スカラー電磁波”と呼ばれるものは、縦波電磁波、重力波とも呼ばれ、動植物の基本的な生命活動や人間の精神活動、さらには地球の公転・自転等に至る活動に重要な役割を果たしていると考えられています。」(パナウェーブ研究所公式ページより)とのことだ。物理学的に言えば電磁波は横波であり、縦波(粗密波)の電磁波というのが何を意味するか不明である上に、電磁波と重力波は別のものである。

 生命活動や精神活動において重要、となってくるとさらに謎が深まる。この説明を見る限りは、電磁波というよりは疑似科学でよく話題になる「波動」(現代の物理学では認められていない未知のエネルギーの流れ)のことを指しているように見える。

 物理学的に見ると上記の通り支離滅裂であるものの、もう少しだけスカラー電磁波の内容を検証してみよう。そもそもスカラー電磁波はパナウェーブ研究所が主張しだしたものではない。物理学的に荒唐無稽なスカラー電磁波の発明者はトーマス・ベアデン(Thomas E. Bearden)と考えられる。ベアデンといえば永久機関(ある仕事をするために外部からのエネルギーを必要としない、または仕事をしてもエネルギーの収支がプラスになる機械)、ハチソン効果(カナダの発明家ジョン・ハチソンが作った、テスラコイルなどを組み合わせた機械で起こるとされる物体浮遊、テレポーテーションなどの不可思議現象)など疑似科学分野では話題に事欠かない人物である。

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波の干渉では、ふたつの波を重ね合わせることで見かけ上、波がなくなる部分が生じる。

 スカラー電磁波の発生方法は、電磁波と電磁波を重ね合わせ、波の振幅をゼロにすることだという。波と波が重ね合わされると見かけ上のエネルギーが消える場所が生じるが、そのエネルギーは消えたわけではなくスカラー電磁波となると考えるわけだ。

 見かけ上のエネルギーが消えることでエネルギー保存則に反するのではないか、エネルギー保存則が正しいとすれば別のエネルギーに変換されているのではないか…と考えてしまうのは、波の運動について学び始めた初学者が陥りやすい典型的な誤解である。実際には、波の干渉では強め合う箇所と弱め合う箇所がペアで生じるため(単体で強め合う場所だけ、弱め合う場所だけが生じるということは無い)、全体で見たときにエネルギーの収支は合い、エネルギー保存則に反するようなことは起こっていない。

 電磁波が打ち消し合っている箇所でスカラー波が発生しているのであれば、既にエネルギー収支が合っている状態から別のエネルギーが発生しているということになってしまうため、そちらの方がエネルギー保存則に反するといえるだろう。

 ところで団体の代表である千乃裕子はなぜこのような疑似科学に手を出したのであろうか。それは千乃への迫害に説明をつけるためだった。パナウェーブ研究所の主張によれば1989年のソ連崩壊直後から千乃は共産主義者より執拗な尾行をされるようになったという。そして当時からソ連の開発したスカラー波兵器での攻撃も受けていたというのだ。

「共産主義者によるスカラー波攻撃から逃れるため」というのが白装束集団のキャラバン隊の目的であった。スカラー波攻撃を受けると、千乃はなんらかの声が聞こえたり失禁したりといった症状が現れるという。スカラー波は通常の電磁波検出機器では検出できないとされているため、物理的な調査によって電磁波が検出されなくても説明がつく。

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イメージ画像:「Getty Images」

 このような主張を聞いたときに真っ先に思いつくのは「集団ストーカー」ではないだろうか。集団ストーカーとは、不特定多数の者が個人に対して監視・つきまとい・いやがらせをする行為であるが、その多くが統合失調症などの精神疾患を原因とする被害者の妄想だと考えられている。幻聴を伴う迫害妄想は重度の統合失調症において現れる典型的な症状である。千乃裕子が統合失調症であったという仮説が正しければ、千乃の症状は1989年頃から明確になり、悪化していったものと考えられる。

 千乃は科学的データや金星人ヴァリアント・ソーUFO艦隊総司令官を含めた多方面の助言をもとに分析を進めた結果、「惑星ニビル」(太陽系第10番惑星とされる架空の星)が地球にニアミスすることにより、地球に大災害が起こることも予言していた。予言の日付は、パナウェーブ騒動の真っ只中である2003年5月だ。しかしニビルが地球に最接近したとされる5月15日も特に何も起こらなかった。団体はUFO艦隊のフォース・フィールド(UFOの周囲にあるとされるバリアのようなもの)により地球が守られたのだと主張したが、もちろんその証拠は全く存在しない。

(続きは『昭和・平成オカルト研究読本』でお楽しみください)

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昭和・平成オカルト研究読本』(サイゾー)


蒲田典弘(かまた・のりひろ)
ロズウェル事件研究家。ニセ科学問題、悪徳商法問題なども追っている。ASIOS運営委員。超常現象ビリーバーとして様々な超常現象の調査をしたことがきっかけで懐疑論者へ転向。ビリーバーとの対話を含めたインターネット上での活動はライフワークだと考えている。共著に『謎解き超常現象』シリーズ(彩図社)の他、『これってホントに科学?』『ホントにあるの?ホントにいるの?』(かもがわ出版)などがある。

※ ASIOS編著『昭和・平成オカルト研究読本』(サイゾー刊)の出版記念イベントが8月4日(日)に開催されます。詳細は下記をご覧ください。

http://www.asios.org/event_20190804

文=蒲田典弘

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