「M資金」という都市伝説が人々を70年以上も騙し続ける理由とは? 豆腐屋、占領軍、元ローソン会長も… サンデー毎日編集長が解説!

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イメージ画像:「Getty Images」

【警告を発し続ける財務省】

 国債還付金の“都市伝説”は、今も生き続けている。試しに財務省のホームページから「国債」のページに入っていただきたい。そこにはこんな項目がある。

〈「還付金残高確認証」(架空の証書)についてのご注意〉

 こう書かれている。

 〈「還付金残高確認証」とは、証書上に記載された金額の国債還付金の残高の存在を示し、これと同額の国債に引き換えることを大蔵大臣が約束したとする架空の証書です。この架空の証書を用いた詐欺事件は昭和59年に摘発されましたが、その後もこの証書を使った事案が発生しています。

 財務省(大蔵省)は、この「還付金残高確認証」なるものを発行したことはありません。同確認証は、法律上も存在しないものですので、ご注意下さい。

 また、「還付金残高確認証」を用いた資金提供等を持ちかけられた場合には、最寄りの警察にご相談下さい。〉

 私はこの関連書類一式を持っている。1979年(昭和54)1月26日付けで大蔵省(当時)理財局国債課が発行した体裁をとり、500億円を支払うという内容だ。片面には「財政審議会」として、大平正芳・自民党総裁、保利茂・衆議院議長、金子一平・大蔵大臣らのタイプ署名に、各人の実印らしきものが押されている。

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M資金詐欺に使われる小道具。右下の「還付決定通知書」には政財界実力者の印鑑が……。

 目を引くのが出資者総代に名を連ねている堤清二(つつみせいじ)と、佐藤寛子(ひろこ)の名前。堤はセゾングループの総帥だった実業家。佐藤寛子は佐藤栄作元首相の妻で、当時は輝いている女性の代表格だった。

 初期の頃のM資金ブローカーは、堤清二、佐藤寛子の2人が「資金の決済人」だと説明していたという。片や二代目ボンボンの文化人気質、こなた宰相夫人。持ち上げられやすいタイプだったのかもしれない。

 今となっては2人とも故人である。ブローカーたちは、決済人の後継者として、「事業再生資金」で紹介したようなニセ皇室、皇族らを仕立てているのだろう。

「国債還付金残高確認証」など一連の偽造書類は亡霊のように繰り返しよみがえり、いまもM資金の小道具に使われることが多い。たとえば、1995年(平成7)の阪神大震災、2011年(同23)の東日本大震災では、復興資金名目にこの確認証を使ったM資金詐欺が頻発したとされる。

 また、ユーロ通貨の統一が具体的に進み出した1990年代後半から猛威をふるったのがマルク債。第一次世界大戦後の1923年に発行されたもので、額面は5000億マルク。といっても、当時のドイツは4兆マルクでやっと1ドルという天文学的なインフレに襲われていた。翌年のデノミ政策などで、新券と交換されるなどすでに処理が終わっていた債券である。要は紙くずにしかすぎない。

 ところがM資金ブローカーの手にかかると錬金術のツールに化ける。私の取材メモから紹介しよう。

(続きは『昭和・平成オカルト研究読本』でお楽しみください)

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昭和・平成オカルト研究読本』(サイゾー)


隈元浩彦(くまもと・ひろひこ)
サンデー毎日編集長。明治大政治経済学部卒業後、1985年毎日新聞社入社。東京社会部警視庁担当、ヘミングウェイ編集長、山形支局長、夕刊編集部長、編集局編集委員を経て2018年10 月から現職。この間、15年4月から18年3月まで、慶應義塾大メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師。著書に『私たちはどこから来たのか』(毎日新聞社)、共著に『「死後の世界」研究』(毎日新聞社)など。


参考:『週刊新潮』(2017年4月27日号)、『サンデー毎日』(1999年11月21日号、2000年3月26日号、2000年5月28日号、2000年7月23日号、2000年7月30日号)、『SAPIO』(2006年8月9日号)、ほか

文=隈元浩彦

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