「M資金」という都市伝説が人々を70年以上も騙し続ける理由とは? 豆腐屋、占領軍、元ローソン会長も… サンデー毎日編集長が解説!

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昭和・平成オカルト研究読本』(サイゾー)

 5月1日に新天皇が即位し、令和の世が始まった。この歴史的転換点に合わせ、昭和・平成のスピリチュアル・オカルトをASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)が総括する『昭和・平成オカルト研究読本』がサイゾーから刊行された。資料的価値の極めて高い本書の中から、トカナ編集部が厳選するいくつかのエピソードを掲載する。興味を持った方はぜひ手にとっていただきたい。

 

【南朝系天皇家の代理人と称する男からの電話】

「私は『事業再生資金』の決裁人に近いところにいる。あなたの取材もまだ半端なままでしょう。あなたが持っている『評価リスト』と私の資料を突き合わせませんか」

 野太い男の声だった。年の頃は60歳前後であろうか。ずいぶんと高飛車な、それでいて自信に満ちあふれた口調だった。記録的な猛暑日が続いた2018年(平成30)夏。私の勤務先に一本の電話がかかってきた。東北地方に住むという男はササキと名乗った。見え透いた偽名であることは分かった。

〈取材が半端か……。痛いところをついてくる〉

 内心で舌打ちした。ざらついた記憶がよみがえってきた。

 その年の春、縁あってあるテレビ局のドキュメンタリー番組(2018年5月22日放送の『アナザーストーリーズ 運命の分岐点▽M資金の伝説』)に協力した。M資金をテーマにすえた内容で、私はM資金詐欺を追跡したことのあるジャーナリストの一人という触れ込みだった。ウソではない。と言っても20年近くの前の話だ。週刊誌で数週間にわたってキャンペーン報道した。ざっとこんな事案だった。

〈皇族関係者を自称する男らが「莫大な皇室財産がある。申し込めば資本金の10倍以上のカネを提供する。融資だが、返済する必要はない」などと企業のトップらに持ちかけて、「協力金」などを名目にカネを集めた。申し込んだ企業は一部上場企業を含む350社にのぼり、数億円を超えている〉(『サンデー毎日』2000年7月23日号より)

 グループはその資金を「事業再生資金」と呼んでいた。当時は、バブル崩壊後の「失われた20年」のまっただ中。金融機関の貸し渋りは常態化し、企業倒産は相次いでいた。中心人物の70代の男は南朝系の天皇家の代理人と称し、「陛下は苦境にあえぐ民間企業の行く末を憂えている」という触れ込みだった。

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 その代理人は「南公信(みなみきみのぶ)」を名乗っていた。南朝の忠臣、楠木正成の子孫とも話していた。取り巻きの連中からは「先生」と呼ばれ、数千億円を動かすと吹聴していた割には、自宅は場末のアパートだった。典型的なM資金詐欺事件(のちほど説明)と思われた。

 もっともらしい書類を作っていた。被害者である経営者の個人通帳はもちろん、パスポートのコピーまで提出させていて、それらの情報はすべてデータベース化されていた。ある一部上場企業の経営者は私の取材に、最初は嫌悪し、その経営者の個人情報が「南公信」のデータベースに掲載されていることを私が把握していると知るや、その経営者のことを記事にしないよう、さまざまな手で懐柔しようとしてきた。「誌面に出したら、法的手段に訴える」と言ってきたり、時には広告代理店の影も見え隠れした。つまりこういうことだ。

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